April, 8, 2022, Trodheim--ノルウェーのSINTEFスマートレンズ&マイクロシステムの研究者は、圧電薄膜に微小電圧を印可することで使い焦点長を変えるメタサーフェスレンズを開発した。
極めてコンパクト、軽量であるので、新しいレンズは、ポータブル医療診断装置、ドローンベース3Dマッピング、微小化が新たな可能性を開く他のアプリケーションに使える。
「この種のローパワー、超コンパクト可変焦点レンズは、システムサイズ、重量、コストが重視される広範なセンサやイメージング技術で利用できる。さらに、メタサーフェスに精密チューナビリティを導入することで、光を操作する全く新しい方法に道を開くことになる」とノルウェー、SINTEF Smart Sensors and MicrosystemsのChristopher Dirdalは説明している。
研究チームは、その新技術をOptics Lettersに発表した。
焦点長を変えるには、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜に電圧を印可し、それらを変形させる。これが、次に2つのメタサーフェスレンズ間の距離を変える。
「われわれの新しいアプローチにより、低電圧を利用して、メタサーフェスレンズ間に高速大変位が生じる。最先端のデバイスと比較すると、われわれは、1/4の電圧で2倍の面外変位を実証した」(Dirdal)。
技術の統合
研究チームは、光を操作するために、ナノ構造パタンをもつ平坦面、メタサーフェスを利用して新しいレンズを作製した。それらは、複数の機能を1つの面に統合できるので特に興味深い。また、標準のマイクロおよびナノファブリケーション技術を使うことで、潜在的にローコストで大きなバッチで作製できる。
「これまでメタサーフェスを組み込んだほとんどのシステムは静的である。つまり光学的機能は、製造後に固定されている。しかし、カメラ、3DマッピングLiDARシステム、ホログラフィック低スプレイにとって重要な光コンポーネントの多くは、適応性を必要としている」(Dirdal)。
チューナビリティ、つまり適応性は、従来の光学系では一般に、ステッパーモーター、ローテータあるいは磁石などの大きな消費電力、大きなコンポーネントを使い達成されていた。この機能をより小さな規模で実現するために研究チームは、MEMS技術に眼を向けた。これらのチップベースの電気制御で機械的に動作する部品は、高速、省エネである。また量産バッチプロセスに適合している。これらにより、光学系のサイズ、コスト、重量が減らせる。
焦点の変化をデモ
MEMSアクチュエーションは、最近、チューナブルメタサーフェスレンズ実現に使われている。研究チームは、さらに優れたパフォーマンスを実現できるかどうかを知りたかった。チームは、薄膜PZT膜製の膜リングにメタサーフェスを宙づりにしたデバイスを設計することでこれを行った。この設計により、電圧を印加するとPZTがメタサーフェスを動かすことができる。
MEMSメタサーフェスが、可変焦点レンズダブレットとしてどのように機能するかを実証するためにチームは、MEMSメタサーフェスの後に第2のメタサーフェスレンズを取り付けた。MEMS変位によりレンズ間の分離距離を変えることで、レンズダブレットの焦点を即座に調整できる。
研究チームは、23Vを印可することでPZT膜が72µmのメタサーフェスを動かし、焦点長が約250µm変わることを示した。この範囲は、もっと強い合焦力のメタサーフェスで一段と改善できる。また、もっと長いストロークの作動にMEMS設計を最適化することでも改善できる。そのようなチューナビリティは、例えば、ニューロン、血管を撮像するために、組織に様々な奥行きでイメージングする際に有用である。
MEMSアーキテクチャのさらなる開発により商用関連のチューナブルレンズデバイスが実現しそうである。研究チームは、MEMSメタサーフェスの組合せが、小型、軽量、安価なオプティクスを必要とする、光品質に妥協のない様々なアプリケーションにどう適用されるかも調べている。