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フォトニック技術で無線信号相関のリアルタイム計算が可能に

April, 7, 2022, Washington--Université Grenoble Alpes-CNRSの研究者は、無線信号を伝送する物体を見つけるために使える新しいナノフォトニックコリレータを開発した。新しいコリレータは、他の方法よりも高速であり、広い範囲の無線周波数信号で動作するので、携帯電話、ジャマー信号あるいは様々なトラッキングタグの発見に有用である。

「われわれが開発したフォトニックアーキテクチャは可動部分がなく、リアルタイム信号処理を可能にする。リアルタイム処理は、ダウンタイムがないことの保証に役立つ。これは、例えば、防衛アプリケーションには極めて重要である」と同大学のHugues Guillet de Chatellusは話している。

Opticaで、Guillet de Chatellusと研究員は、その新しいフォトニックコリレータを説明している。また、RFトランスミッタの位置を特定する能力を実証している。デバイスは、現在のアナログあるいはデジタルコリレータよりも遙かにシンプルであり、市販の通信コンポーネントを使用している。

「多くの今日の無線信号は、膨大な情報を伝送するので、大きな帯域をもつ。われわれのフォトニックアプローチは、信号を数GHzまでの帯域と相関させるシンプルな方法を提供している。GHzは、純粋デジタル技術をベースにした商用アプローチで利用可能なよりも大きな帯域である」(Guillet de Chatellus)。

相関の計算に光を使う
新しいフォトニックコリレータは、1つのソースから発せられた2つの信号を2つのアンテナで検出し、クロス相関関数として知られる計算を行うために使用される。これは、他方に対する1つの信号の移動機能としての信号の類似性を計測し、それらの相対的遅延についての情報を提供する。これは、信号源の位置の計算に使える。

「われわれが開発したフォトニックアーキテクチャは、2つの入力信号のクロス相関関数のリアルタイム計算が同時に可能になる、相対的遅延は約200値である。これは、これまでにフォトニック技術が達成できたよりも遙かに高い」(Guillet de Chatellus)。

そのコリレータは、ファイバオプティクコンポーネントを使うことでフォトニックプロセッサのように機能し、2つの無線波信号を光信号に変換する。クロス相関関数を計算すると検出と処理チェーンにより、それはデジタルフォーマットに変換できる。

新システムの最も重要なコンポーネントは、周波数シフトループ。これは、入力信号に対し多数の時間シフトレプリカを生成し、操作できる。このシンプルなフォトニックコンポーネントにより、マイクロ波フォトニクスにおける多くの最近のイノベーションが可能になった。

「われわれは、かねてから周波数シフトループを開発しており、そのアーキテクチャを深く理解することで、それらをこの新しいアプリケーションに適用した。この研究は、フォトニクスが、デジタルエレクトロニクスに基づいたソリューションの効率的な代替となり得ることを示している」とGuillet de Chatellusは説明している。

正確な位置
その新しいデバイスをハイパワー簡易信号を使ってテストした後、研究チームは、もっと複雑な信号を使い、さらにフリースペースを伝播する信号に移行し、一対のアンテナで受信した。チームは、100-ms積算時間で10psに迫る精度で無線周波数トランスミッタの位置を特定できた。これは、そのシステムが約3㎜の精度でエミッタを見つけられることを意味する。

新しいアナログフォトニックコリレータは、複数の望遠鏡から来る信号をクロス相関させ、高分解能画像を作るために天文学でも利用できる。今後数ヶ月で研究チームは、実証実験に取り組む予定である。ここでは、太陽から発せられる10GHz程度の信号を2つのリモートアンテナで収集して、新しいフォトニックデバイスを使ってクロス相関させ、無線波で太陽の画像を作る。

これらの実験が成功すると、このデバイスは、チリの超大型望遠鏡(VLT)干渉計など、天文学施設で、ヘテロダイ干渉法を使って、赤外アプリケーションを開始できる。ヘテロダイン干渉法は、電波干渉計で使われてきたが、以前は、狭相関帯域幅に限られていた。

研究チームは、新しいフォトニックコリレータが3つの信号の相互関係を証明するために使えるかどうかを知るための実験も行っている。これは、三角測量によりトランスミッタの3D所在を可能にする。チームは、コリレータの小型化、完全組込にも取り組む計画である。