April, 4, 2022, Amsterdam--シリコン太陽電池は、優れた光起電力(PV)技術である。地球の豊富な原材料(シリコン)を使い、高効率だからである。しかし、それらは厚くて固い、重いウエファをベースにしており、したがって導入される場所が限られている。この欠点を克服する方法の1つが、代わりに、薄い膜を使うことである。これは、Siの量を99%以上減らし(原材料の激減)、セルを柔軟で軽量にする。
こうして、これらのセルはビル、都市の建築物、小型の日常的機械にさえ簡単に導入可能となる。しかし問題は、そのような薄いSi膜が十分な光を効率よく吸収できないことである。実際、吸収される太陽光は、わずか25%、それらを透かして見ることさえできる。
新しい合理的に設計されたナノ構造テクスチャを使い、AMOLF、Surrey UniversityとImperial Collegeの研究者は、薄いPVセルを不透明にし、その効率を増強する方法を発見した。実験室の計測では、そのようなテクスチャの薄膜は、太陽光の65%を吸収した。これは、~70%の究極の理論的吸収限界に極めて近い。そのような薄いSi膜でこれまでに実証された最高の光吸収であり、また近い将来、フレキシブル、軽量、効率的なSi PVセルの開発が見込める。
その機能法
そのパタンナノ構造は、直射日光を角度範囲に賢明な方法で向け直し、Si幕内に光をトラップする。光がトラップされているので、光が吸収される確率が増え、光に対して膜の厚さが効果的に増加することになる。
どの光の角度が、Si膜内のフォトンをトラップするかを知ることで、研究チームは、宇宙の法則から鳥の目の光受容体の分布まで自然に見つかる材料の状態に基づいてナノパタンを設計できる。超均一分布とパタンは、完全にランダムに見えるが、ある秩序が存在する。こうして、超均一設計は、両世界の最高を統合する。
a- パタンの周期性に基づいた膜にトラップされるように、秩序が光を非常に特殊な角度に賢明に誘導する。
b- 無秩序によりシングルパタンで達成可能なわずかな角度が広がり、吸収増となる。
研究チームは、光学パフォーマンスに妥協することなく、その全てが高い設計柔軟性を提供するのは、固有のソリューションではなく、むしろ全般的な超均一パタン設計であることを実証した。これは、実装の観点からは非常に重要である。全てのナノパタンデザインをスケーラブルに製造することは容易ではないからである。
問題点
薄いSiに太陽光をトラップする際の2つの重要問題は、太陽スペクトルの広い範囲の色と膜の限られた寸法である。フォトニクスの視点から、光誘導とシングルカラーのトラッピングを最適化することは、比較的簡単であり、周期構造を使うことで効率的にできる。しかし太陽の光には多くの色があり、Siでは、その各々が異なる吸収パワーを経験する。厚いSiソーラセルは、光の波長の特徴に似た寸法のピラミッド型の特徴で表面を粗面化することでこの問題を解決した(i.e.赤い光は1µmまでであり、これはSi厚さ全体の1%以下)。しかし、同じコンセプトは、光の波長オーダーの厚さの薄膜では不可能である。研究チームは、赤も含めて広いスパンの色を捉え、セル表面のわずかをパタン化することで、この問題を回避した。このコンセプトは、ここで実証したように、薄型Siに適用できるだけでなく、光を吸収するために特別な支援を必要とするどんな他の光アブソーバ薄膜にも適用可能である。
アプリケーション
AMOLFグループリーダー、Esther Alarcon Lladoは、「われわれのパタンの強力な光トラッピングパフォーマンスに基づいて、われわれは20%を超えるPV効率が、1µm厚c-Siセルで達成可能であると推定している。これは、フレキシブル、軽量c-Si PVへの絶対的なブレイクスルーである。また、薄いSiアブソーバは、厚いものに比べて、電子欠陥に対する耐性が高い。つまり、高効率Siセルが、低グレードSiからも作れる、したがってSi原材料の精製のエネルギーニーズが減り、エネルギー回収時間が減る。超均一パタン薄型PVは、非常に有望な技術である。そのような薄型高効率セルをわれわれの生活環境の一部にするためにすべき仕事はまだたくさんあるが、この研究でわれわれは、これが間もなく実現することについて非常に楽観的になっている。
(詳細は、https://amolf.nl)