February, 7, 2022, Kaunas--ルーマニアのカウナス工科大学(KTU)の化学者グループは、効率21.4%のペロブスカイトソーラセル(PSCs)を構築するために使う材料を合成した。これは、アクティブソーラセル層のパッシベーションにより達成された。パッシベーションは、セルの効率を高め、その安定性を著しく改善する。
PSCsは、世界最速成長のソーラセル技術の一つである。これらは薄い層、軽量、フレキシブルであり、ローコスト材料でできている。しかし、この種のソーラセルは、まだ大きな問題に直面している。環境条件下ではペロブスカイト材料の劣化が急速である。
パッシベーションは、ペロブスカイトソーラセルの安定性を改善する簡素だが効果的な方法であり、ペロブスカイト材料の欠陥とその負の影響を除去する最も効果的な戦略の一つと考えられてきた。パッシベーションされたペロブスカイト表面は、温度や湿度などの環境条件への耐性が向上し、安定性が高まり、デバイスの耐久性が拡大する。
ソーラミニモジュールに使用された合成材料
研究チームは、パッシベーション法によりPSCsの安定性を大きく改善した。パッシベーション中にペロブスカイト表面は化学的に不活性になり、製造中に起こるペロブスカイト欠陥を除去する。次のペロブスカイトソーラセルは、長期動作安定性(1000時間以上)、効率23.9%を達成した。
「パッシベーションは、予め適用されているが、これまでは、ペロブスカイトの2D層が、従来の3Dペロブスカイト光アブソーバ上に形成され、キャリアの移動が困難になって、特に高温になっていた。ソーラセルが熱くなるので、これを防ぐことは極めて重要である」と、KTU主席研究者、Dr Kasparas Rakštysは説明している。
この問題に対処するために国際研究チーは、2Dペロブスカイト形成に必要な最小エネルギーを推定する研究を行った。3Dペロブスカイト層の表面は、KTUが合成したフェニルエチルヨウ化アンモニウムの様々な異性体でパッシベートされていた。これらの異性体は、同じ分子式であるが、空間的な原子配列が多様であり、2Dペロブスカイト形成の確率を決める。
スイスのEPFLの研究者が、ペロブスカイトソーラミニモジュールでその材料をテストした。アクティブエリアは、一般的なラボスケールの300倍以上である。これらミニモジュールは、記録的なエネルギー変換効率21.4%を達成した。そのペロブスカイトソーラセル表面は、KTU化学者が開発した材料で被覆されている。2Dペロブスカイト形成を回避する立体障害となるからである。興味深いことに、立体障害は、望ましくない反応を阻止または遅らせるために様々な化学分野でツールとしても利用されている」。
研究は、ソーラセルのパッシベーションの負の効果阻止に極めて有効であることを証明した。互いに最も近いパッシベーショングループを持つ異性体が最も効率的なパッシベーションとなることが分かった。
研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
(詳細は、https://en.ktu.edu)