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光パルスでグラフェンの電気的挙動を制御

August, 5, 2014, London--MITの研究者は、極短パルスを使って材料の伝導性を制御する方法を見いだした。これはブロードバンド光検出器として使える。
 研究チームは、グラフェンシートにおける電子密度を制御することで、短く強い光パルスに対する材料の応答の仕方が変えられることを発見した。グラフェンシートが低電子密度から出発すると、パルスがその材料の伝導性を強める。この振る舞いは、シリコンやゲルマニウムなどの従来の半導体の振る舞いと同様である。
 しかしグラフェンシートが高電子密度からスタートすると、パルスはその伝導性を低下させる。これは金属の一般的な振る舞いと同じである。したがって、グラフェンの電子密度を変えることで、グラフェンの光伝導性を半導体のようにも金属のようにも効果的に変えることができる。
 この研究のために、研究チームは、薄い金属箔が下にある絶縁層にグラフェンを堆積した。グラフェンと下の電極との間に電圧を印可することでグラフェンの電子密度は調整できる。次にグラフェンに強い光パルスを照射し、伝導性の変化を計測した。
 この場合、レーザは二重の機能を果たす。「われわれは2つの異なる光パルスを用いる。1つは材料に変更を加えるため、もう1つは電気伝導性を計測するため」とNuh Gedik氏は言う。伝導性を計るパルスは、材料の振る舞いを変えるために使うパルスよりも遙かに低い周波数である。このために、研究チームは、レーザパルスを透過させせる透明なデバイスを開発した、とAlex Frenzel氏は説明している。
 このオールオプティカル法により、グラフェンに特別な電極を加える必要がなくなる。
 また、短い光パルスによって研究チームはわずか1兆分の1秒でグラフェンの電気応答を変え、それを見せることができる。
 研究チームは、高電子密度における伝導性劣化の一部がグラフェン固有の特性から来るものであることを発見した。その電子は、フォトンと同じように、一定の速度で移動し、レーザパルス照射で電子の温度が上昇すると伝導性が劣化する。「われわれの実験では、グラフェンの光導性の原因は、通常の金属や半導体の場合とはかなり違っている」とFrenzel氏は言う。
 研究チームによると、この研究は超高速応答の新しい光ディテクタの開発に役立つ。また、これは赤外からUVまで、幅広い範囲の光周波数に高い感度がある。その材料は幅広い周波数に感度があるが、実際に吸収される光のパーセンテージは少ない。そのようなディテクタの実用的なアプリケーションは、多層グラフェンを用い、吸収効率を増やす必要がある。