November, 26, 2021, 東京--東京大学大学院情報理工学系研究科と九州大学マス・フォア・インダストリ研究所は、日本電信電話株式会社と共同で、量子コンピュータでも解読できない新たなデジタル署名技術を開発し、既存の方式と比較して約3分の1まで公開鍵のデータサイズを削減することに成功した。
今回開発したデジタル署名技術「QR-UOV署名」は、多変数多項式問題の難しさを安全性の根拠としており、公開鍵および署名のデータサイズが小さいことが特徴。量子コンピュータの時代においても安全かつ効率的な暗号技術として、個人認証やデータ保護などに利活用が可能となる。
<研究内容>
Rainbow署名は1999年に提案された安全性の高いUOV署名をマルチ階層構造として拡張することにより効率化していた。一方、今回の提案方式であるQR-UOV署名は、数値の行列で表現されていたUOV署名の公開鍵を剰余環と言われる代数系の多項式として表現することにより、安全性を低下させることなく公開鍵のデータサイズ削減を実現した。実用的に安全性が十分に高いパラメータにおいてRainbow署名と比較したところ、公開鍵のデータサイズを約66%削減することが可能となった。具体的には、Rainbow署名では252.3 KBであった公開鍵のデータサイズを、QR-UOV署名では約3分の1となる85.8 KBまで削減することに成功した。
この研究成果は、国際暗号学会主催の国際会議「International Conference on the Theory and Application of Cryptology and Information Security(Asiacrypt 2021)」(2021年12月6日‐10日 オンライン開催)において発表する。
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)