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NTT、10万スピン コヒーレントイジングマシンを実現

October, 19, 2021, 東京--コヒーレントイジングマシン(CIM)は、縮退光パラメトリック発振器(DOPO)のネットワークを用いて組合せ最適化問題を解く新しい計算機。日本電信電話株式会社(NTT)は、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)と共同で、10万個のDOPOネットワークからなる超大規模CIMを実現した。
 デジタルコンピュータの進展が飽和しつつある現在、物理現象を用いて特定の問題を高速に解く計算機の研究が盛んに行われている。CIMは、DOPOと呼ばれる一種のレーザを用いて組合せ最適化問題の解を高速探索する計算機として、NTT、NII、スタンフォード大学などにより研究されてきた。2016年には長距離光ファイバ共振器中で発生した2000個のDOPOパルスを、測定・フィードバックと呼ばれる手法を用いて全結合する(最大400万結合)システムを発表した。今回、光システム及び測定・フィードバックシステムの規模を増大し、10万パルス、最大100億結合のDOPOネットワークを可能とする超大規模CIMを開発した。これにより、10万要素の大規模組合せ最適化問題の一問題に対し、CPU上で実装した焼きなまし法(SA)に比べ、同じ精度の解を約1000倍の速さで得ることができた。さらに、動作条件を変えることで、高い解精度を保ちつつSAと比較して多様な解分布を得ることを確認した。この特性は、創薬や機械学習など、高速なサンプリングを必要とする応用にCIMが有用である可能性を示唆している。
 研究成果は、2021年9月29日14時(米国東部標準時)に米国科学誌「Science Advances」で公開された。研究の一部は内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本喜久プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの支援を受けて行われた。
(詳細は、https://group.ntt/jp)