October, 13, 2021, Glasgow--ストラスクライド大学の研究者は、多数の微細スケール光学デバイスを単一チップ上に極めて近接させてアセンブルする高精度な方法を開発した。新しいアブローにより、いずれチップベース光学系の量産が可能になり、よりコンパクトな光通信デバイスや先進的イメージャが実現する。
同大学のDimitars Jevticsは、「Siトランジスタベースのエレクトロニクスの開発により、チップ上で、ますます強力な、柔軟性のあるシステムが可能になった。しかしチップ上の光学システムは、一つのチップに様々な材料を集積する必要があり、Siエレクトロニクスと同じスケールの開発になっていない」とコメントしている。
Optical Materials Expressに発表された論文で研究チームは、新しい転移プリンティングプロセスを説明し、多数の材料でできたデバイスを単一のチップ上に設置する機能を証明している。これら全てが、デバイスそのもののサイズと同じフットプリント内に集積される。他の方法は、一般に単一材料に限られるが、この新アプローチは、未来のシステムデザイナーが引き出せる材料のツールボックスを提供している。
「例えば、オンチップ光通信は、光源、チャネル、ディテクタをシリコンチップに集積できるサブアセンブリ上にアセンブルする必要がある。われわれの転移プリンティングプロセスの拡張性は、多様な材料でできた最大、数千のデバイスを単一のウエファ上に集積できる、これによりマイクロスケールの光デバイスを高密度通信向けの将来のコンピュータチップに、またlab-on-a-chipバイオセンシングプラットフォームに組み込み可能となる」(Jevitics)。
ピック&プレイスのより優れた方法
複数のデバイスをチップ上にアセンブリするための最大の課題の一つは、すでにチップ上にあるデバイスを乱すことなく、それらを近接設置することである。これを達成するために研究チームは、可逆接着をベースにした方法を開発した。つまり、デバイスがピックアップされ、その成長基板からリリースされ、新しい面に設置される。
新方法は、ロボットモーションコントロールステージにマウントされたソフトなポリマスタンプを利用し、それが作られた基板から光デバイスをピックアップする。設置される基板は、次に宙づりデバイス下で位置決めされ、顕微鏡を使って正確に配列される。適切に配列されると2つの面が接合され、ポリマスタンプからデバイスをリリースし、それターゲット面に堆積する。正確なロボットアセンブリロボット工学、ナノファブリケーション技術、顕微鏡画像処理における進歩が、このアプローチを可能にするのに役立った。
「デバイスに一致するようにスタンプの形状を注意深く設計し、ポリマ材料の粘性をコントロールすることで、デバイスがピツクアップされるか放出されるかを設計できる。最適化されると,このプロセスは損傷を誘発せず、オートメーションを利用してウエファスケール製造に適合するように拡張できる」(Jevtics)。
高密度パックのチップの作製
その新技術のデモンストレーションのために研究チームは、AlGaAs、ダイヤモンドおよびGaN光共振器を単一のチップに集積した。これらの光共振器は、優れた光伝送を示し、集積が良好に機能していることを実証している。
チームは、そのプリンティングアプローチを利用して、ナノワイヤをホスト面に空間的に密集した配置に設置することで、半導体ナノワイヤレーザも作製した。ナノワイヤ間の分離を走査型電子顕微鏡による計測は、空間精度が100-nm範囲であることを証明している。SiO2に半導体ナノワイヤを設置することでチームは、多波長ナノレーザシステムを作製することができた。
「製造技術としてこのプリンティングアプローチは、光学デバイスに限定されない。エレクトロニクススペシャリストも、将来のシステムにそれがどうように適用できるかを検討すると期待している」(Jevtics)。
次のステップとして研究者は、より多くの数のデバイスでこの成果を複製して、それが大規模で機能することを示すことに取り組んでいる。また、チームは、プリンティングアプローチとチームが以前に開発した自動アライメント技術とを統合して、数百の孤立したデバイスの迅速な計測、選択、移転を可能にしたいと考えている。アプリケーションはイメージングおよびハイブリッド光回路である。