August, 18, 2021, Cambridge--新しいアルゴリズムは、探索,レスキューなど時間が重視される操作で高速、機敏なドローンを可能する。
ドローンの飛行が高速になればなるほど、不安定になる。高速では、航空力学は,複雑になりすぎて予測できないからである。したがって、衝突は普通のことであり、時には壮観な出来事になる。
しかしドローンをさらに高速、機敏にできると、ドローンは、レースコース以外、例えば自然災害の生存者の探索など、時間が重要なオペレーションに利用できる。
今回、MITの航空宇宙エンジニアは、ドローンが衝突することなく、障害物を回避する最速ルートを見つけるのに役立つアルゴリズムを考案した。新しいアルゴリズムは、仮想障害コースを飛ぶドローンのシミュレーションを物理的空間の同じコースを飛ぶ実際のドローンの実験からのデータを統合する。
研究チームは、そのアルゴリズムでトレーニングしたドローンが、従来型アルゴリズムよりも簡素な障害コースを最大20%高速に飛ぶことを確認した。興味深いことに、新しいアルゴリズムは、コースを通して、そのドローンを競合にに対して常に先行させたのではなかった。ある場合には、それは、用心が必要なカーブに対処するために、あるいは省エネのためにドローンの減速を選択し,最終的にスピードアップしてライバルを追い越した。
「高速では、シミュレーションが難しい複雑な航空力学があるので、われわれは,実世界の実験を利用して、そのブラックホールを埋める、例えば最初に減速して後にスピードアップする方がよいことを確認した」とMIT宇宙工学、宇宙航行学学部、院生、Ezra Talは説明している。「われわれが、軌跡全体を可能な限りいかに高速にできるかを見いだしたのは、われわれが採用したこの全体的なアプローチである」。
「この種のアルゴリズムは、複雑な環境を高速にナビゲートできる将来のドローンを可能にするには非常に貴重な一歩である。われわれは、その物理的限界が許す限り高速に飛ぶことができる方法で、実際にその限界を押し広げたい」とMIT情報と意思決定システム研究所ディレクタ、航空力学教授、Sertac Karamanはコメントしている。
高速効果
障害を回避してドローンを飛ばすトレーニングは、ゆっくり飛ばすなら、比較的簡単である。それは、抗力などの航空力学が、低速では作用しないからである。また、ドローンの挙動のモデリングにも関与しない。しかし高速では、そのような効果は、遙かに明白であり、ドローンをどのように取り扱うかは、予測が非常に難しい。
「高速飛行の時、位置を推定することは難しい。モーターに信号を送る際に遅延が出る。あるいは急激な電圧降下が原因で他の力学的問題が生ずる。こうした効果は、従来型計画アプローチではモデリングできない」(Ryou)。
高速航空工学が飛行するドローンにどのように影響を与えるかを理解するために研究チームは、研究室で多くの実験をする必要がある。ドローンを様々なスピードと軌跡で設定し、どの飛行がクラッシュなしの高速飛行となるかを見る必要がある。高価な、時にはクラッシュを誘発するトレーニングプロセスである。
代わりにMITチームは、シミュレーションと実験を統合した高速飛行計画アルゴリズムを開発した。高速で安全な飛行経路を特定するために必要な実験数を最小化する方法である。
研究チームは、物理学ベースの飛行計画モデルで始めた。これは、仮想障害コースを飛行する際にドローンがどのように挙動するかを最初にシミュレートするためにチームが開発したものである。チームは、数千のレーシングシナリオをシミュレートした。その各々が異なる飛行経路、スピードパタンであった。次に、各シナリオが実行可能(安全)か、あるいは実行不可能(クラッシュ)かどうかをチャートした。このチャートから、チームは、ラボで試すために、一握りの最も有望なシナリオ、つまりレーシング軌跡に照準を合わせた。
「われわれは、高速、実行可能の興味深い軌跡を見つけるために、この低忠実度のシミュレーションを安価に素早く行うことができる。次に、実世界でどれが実際に実行可能かを見るために実験でこれらの軌跡を飛ばす。最終的に、われわれは、最小の実行可能時間となる最適軌跡に焦点を合わせる」。
速くなるためにスピードを落とす
その新しいアプローチを実証するために研究チームは、5つの大きな方形障害物が交互に配列された単純なコースを飛ぶドローンをシミュレートした。チームは、物理的なトレーニング空間でこの同じ構成を設定し、シミュレーションから予め抽出したスピード軌跡でドローンがそのコースを飛ぶようにプログラムした。また、実験をその計画に組み込んでいない従来型アルゴリズムで訓練したドローンを同じコースで飛ばした。
全体として、新しいアルゴリズでトレーニングしたドローンが全てのレースで「勝った」。従来型で訓練したドローンよりも短時間でそのコースを完了した。シナリオによっては、勝者ドローンは、その競合よりも20%高速だった。例えば、少し時間をかけバンクさせてカーブを曲がり、スタートが遅れて軌道を飛行したとしても勝利した。この種の微妙な調整は、従来型で訓練したドローンでは採用されていない、おそらくその軌道は、シミュレーションだけをベースにしており、チームの実験が実世界で明らかにしたような航空力学を全く考慮できていなかったからである。
研究チームは、より多くの実験飛行をする予定である。スピードをあげ、より複雑な環境を飛ばし、そのアルゴリズムをさらに改善する。ドローンを遠隔から操作してレースする人間パイロットからの飛行データも組み込みむ。また、その決定や操作が、もっと速く、それでもなお実行可能な飛行計画に照準を合わせる際に役立つ可能性がある。
「人間のパイロットが減速したり、スピードアップしたりすると、それはわれわれのアルゴリズムのすることに情報を与えてくれる。出発点として人間のパイロットの軌跡を利用することもできる。そこから改善して、高速に飛ぶために、人間パイロットがやらないこと、われわれのアルゴリズムが答を出せることを見ていく。それらは、われわれが考えている将来プランである」とTalは話している。
(詳細は、https://news.mit.edu)