August, 4, 2021, 埼玉--KDDI総合研究所は、光ファイバ中で生じる四光波混合現象(Four wave mixing, FWM)を利用して、光ファイバに入力した光信号成分(SN比:光信号対雑音比)を、伝送後に9倍向上させる新たな伝送方式を発明し、その実証に成功した。
現在の伝送方式では、伝送後のSN比は決して大きくなることはなく、伝送前のSN比と同じか、信号劣化によりそれ以下となる。しかし新方式は、伝送後にSN比を大きく改善することができ、従来の伝送方式と比べて約3倍伝送容量を大きくする(例えば、QPSK信号から64QAM信号へ)ことができる画期的な発明。この方式は、Beyond 5G/6Gネットワークを支える光ファイバ通信の伝送容量拡大に向けた基礎技術として今後の活用が期待される。
・【方式・原理】信号光1(周波数f1)と、信号光1の複素共役である信号光2(周波数f2)を光ファイバに入れて伝送すると、f1の2倍からf2を引いた周波数と、f2の2倍からf1を引いた周波数に、信号光の成分(SN比)が9倍大きくなった光が出現する。
・【実証結果】光ファイバの波長分散がゼロとなる周波数を、ちょうどf1とf2の間になる条件に設定し、信号光としてラジオのFM信号のような角度変調を施すことにより、光信号成分が約9倍大きくなった光(相対的に、雑音が信号に対して1/9となった光)の出現を確認した。
研究結果はOFC2021(The Optical Networking and Communication Conference & Exposition)(2021年6月6日~11日開催)において、最新の成果が厳選されるポストデッドライン論文に採択された。
(詳細は, https://www.kddi-research.jp)