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単純立方格子状に自己集合するコロイド半導体量子ドット

July, 20, 2021, 和光--理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発超分子材料研究チームのジャンジュン・リュウ特別研究員、榎本航之基礎科学特別研究員、夫勇進チームリーダーらの研究チームは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて、硫化鉛(PbS)の「コロイド半導体量子ドット」の配位子密度を制御し、単純立方格子状に3次元自己集合した超結晶の作製に成功した。

この研究成果は、コロイド半導体量子ドットの3次元集合様式の制御における新手法を提案するものであり、次世代半導体デバイスの高性能化に貢献すると期待できる。

通常、球形のコロイド量子ドット(半導体ナノ結晶)は面心立方格子または体心立方格子状に充填される。しかし、単純立方格子は充填率(結晶内で粒子が占めている体積分率)が低いため、単純立方格子状に半導体ナノ結晶が集合した超結晶の作製は困難だった。

有機溶媒中で合成したコロイド量子ドットには、表面に長鎖アルキル基が配位している。今回、研究チームはGPC法を用いて、PbSコロイド量子ドットにおいて連続的かつ選択的に配位子を一部除去した後、溶媒を徐々に蒸発させて量子ドット超結晶を作製した。その超結晶では、隣接するコロイド量子ドット同士が融合・接触することなく、単純立方格子状で3次元自己集合していることが明らかになった。

この研究で示したGPC法によるコロイド量子ドットの配位子密度の制御は、PbS量子ドットのみならず、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)など、他の半導体量子ドットへの適用が期待できる。また、充填率がさらに低いダイヤモンド構造の形成は、今後の挑戦的な課題として挙げられる。

半導体量子ドットの集合状態様式の任意精密制御により、次世代半導体デバイスや光触媒機能の性能が飛躍的に向上するものと期待できる。

研究成果は、Chemical Scienceオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)