July, 9, 2021, Troy--量子コンピューティングの未来は、遷移金属二カルコゲナイド(TMDC)として知られる半導体材料のさらなる開発と理解に依存するかもしれない。これらの原子厚材料は、圧力、光あるいは温度で操作されると、他に類のない、有用な電気的、機械的、光学的特性を発展させる。
Nagture Communicationsに発表された研究で、レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute)の研究者は、作製するTMDC材料を特別な幾何学形状にスタックすると、粒子間に起こる相互作用により、研究者が、そのデバイスの特性を一段と制御できるようになることを証明した。特に、電子間の相互作用は、非常に強いので、相関絶縁状態として知られる新しい構造を形成する。これは、研究者によると、将来の量子シミュレーションやコンピューティングなどに必要となる量子エミッタ開発への重要な1段階である。
レンセラーの科学、生物工学准教授、Sufei Shiは、「何か素晴らしいことが起こっている。量子コンピューティングでわれわれが使いたいと考えている量子自由度の一つが、この相関状態が存在すると、強化される」とコメントしている。
Shiの研究の多くは、エキシトンの潜在性の理解向上に重点をおいている。エキシトンは、電子が光で励起されてホールと結合するときに形成される。研究チームは、二硫化タングステン(WS2)と二セレン化タングステン(WSe2)の層で作られるTMDCデバイスでこの現象を実証した。最近、チームは、層間エキシトンの生成を観察。これは、電子とホールが材料の2つの異なる層に存在する時に形成される。この種のエキシトンの利点は、Shiによると、長寿命であり、電界により強く反応することである。これにより研究者は、その特性の操作力を強めることができる。
最新の研究でチームは、特殊な方法でTMDCをスタックすることで、モアレ超格子として知られる光子を開発することができることを示した。二枚の紙を相互に重ね、各々が6角カットの同じパターンを持っていることを考える。紙の一方の角度を動かすと、6角は、もはや完全に一致しない。新しい形成は、モアレ超格子のそれと同じである。
そのような幾何学形状の利点は、それが電子と層間エキシトンとの結合を促し、さらに研究者がエキシトンそのものに対して持つ制御量を強めること。この発見は、将来の量子シミュレーションや量子コンピューティングで必要になる量子エミッタの開発への重要な一歩である。
「それは、根本的に新しい世界への扉を開いた。われわれはすでに多くのことを見ている、ドアから覗き見たに過ぎないが、ドアを開いて中に入らなければ、何が起こっているかは分からない。それがわれわれがしたいことである。われわれはドアを開いて中に入りたい」とShiは話している。
(詳細は、https://news.rpi.edu)