July, 9, 2021, 浜松--浜松ホトニクスは、独自の光検出技術や光学設計技術、情報処理技術により、全方位フォトルミネッセンス(Omnidirectional Photoluminescence: ODPL)測定法を利用した結晶品質評価装置「ODPL測定装置 C15993-01」を開発した。
同社は、「本製品により、次世代パワー半導体の材料として注目が高まっている窒化ガリウム(GaN)結晶の品質の定量評価を実現したことで、品質向上に向けた研究開発の効率を高めることができると期待される」と説明している。
新製品は、8月2日(月)より国内外の大学や半導体基板メーカーの研究者に向け、販売を開始しする。また、7月14日(水)、パワー半導体と化合物半導体に関するオンラインイベント「SEMI パートナーサーチ -For Power & Compound-」にて紹介される。
ODPL 測定法
ODPL測定法とは、GaNをはじめとする化合物半導体結晶の構造欠陥や不純物の有無などの品質を数値化し、正確に評価する手法。
従来、フォトルミネッセンス(Photoluminescence、以下PL)を利用する測定法では、GaN結晶から一方向に放出されるPLの強度や波長ごとの情報を基に品質を評価していた。PLを利用することで非接触、非破壊、高速で品質を評価することができるが、光検出器の位置や角度、結晶に光を照射する際の条件などで測定結果が左右されるため、再現性や定量性が低いという課題があった。
2016年、浜松ホトニクスと東北大学多元物質科学研究所の小島一信准教授、秩父重英教授のグループは、積分球を用いてGaN結晶から全方向に放出される PLの強度を高い再現性で測定するとともに、独自の計算手法を用いることで、測定結果から内部量子効率(Internal Quantum Efficiency、IQE)を算出できることを発見した。また、GaN結晶のIQEを指標とすることで、結晶の品質を定量的に評価する手法としてODPL測定法を確立した。
(詳細は、https://www.hamamatsu.com)