June, 9, 2021, つくば--円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence, CPL)は、偏光面が右または左回りに回転しながら伝搬するキラル(鏡像異性)な光が生じる現象で、立体視デバイスや量子コンピューターへの応用が期待されている。分子や分子集合体から発生するCPLには角度依存性があることが長らく予測されてきたが、実証はされていなかった。
今回、研究グループは、キラルな側鎖を持つπ共役ポリマーの自己組織化により、巨大な非対称強度でCPLを示す有機マイクロ球体を作製することに成功した。また、このマイクロ球体は、外形は等方的な球体形状であるにも関わらず、内部に、ねじれ双極型配向と呼ばれる異方的ならせん分子配向が形成していることを見いだした。さらに、マイクロ球体1粒子の角度分解CPLを計測した結果、分子配向方向に対するCPLの角度依存性の実験的な実証に成功した。
この研究は、次世代型の光技術に有用な異方性円偏光発光マイクロ素子の開発につながるとともに、キラルな光物質相互作用やトポロジカル欠陥の学理を調査するための理想的な研究対象となることが期待される。
研究成果は、Journal of the Aerican Chemical Societyに掲載された。
(詳細は、https://www.tsukuba.ac.jp/)