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理研、原子精度で定義されたナノ物質を正確に配置

May, 28, 2021, 和光--理化学研究所(理研)開拓研究本部加藤ナノ量子フォトニクス研究室の大塚慶吾訪問研究員(研究当時)、方楠基礎科学特別研究員、加藤雄一郎主任研究員、光量子工学研究センター量子オプトエレクトロニクス研究チームの山下大喜訪問研究員らの共同研究グループは、カーボンナノチューブをはじめとする高品質のナノ材料を緻密に配置する手法を開発した。

研究成果は、表面を含め原子レベルで構造が定まった材料を構成要素としたナノデバイスの創製に貢献すると期待できる。

カーボンナノチューブは、原子スケールで見ると直径や原子配列のねじれ方にしたがって無数の幾何構造を取り得るが、その発光特性から原子レベルでの構造が特定できる珍しいナノ材料である。しかし従来のデバイス作製手法では、所望の幾何構造を持つカーボンナノチューブを適切な場所に配置することは困難だった。また、カーボンナノチューブには光物性がその表面環境に大きく左右されるという特徴もあり、デバイス作製における課題となっている。

今回、共同研究グループは、カーボンナノチューブに似た分子構造を持つアントラセンを媒介材料とするドライな「転写方式」を考案するとともに、転写過程においてカーボンナノチューブの発光をその場観測する技術を開発した。これにより、必要な幾何構造を持ったカーボンナノチューブ1本を選び出し、合成直後の清浄な表面を維持したまま狙った位置に正確に配置することで、ナノサイズの材料や構造を組み合わせた発光デバイスの作製に成功した。

研究成果は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(5月25日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)