May, 18, 2021, Rochester--200億ドルのAR/VRグラス市場では、「イメージ」が全てである。コンシューマは、コンパクトで着けやすいグラスを探している。外見が「虫の目」のようでない、社会的に許容できるオプティクスを備えた高品質画像を供給できるものである。
ロチェスター大学オプティクス研究所の研究者は、そのような特性を最大効果で提供できる新技術を考案した。研究成果は、Science Advancesに発表された。研究チームは、「メタサーフェス」と呼ばれるナノフォトニック光学素子の自由形状オプティクスのインプリンティングについて論文で紹介している。
メタサーフェスは、薄い金属膜上に形成された実際の微小銀、ナノ構造の林立。この進歩でオプティクスの自由形状にしたがい、研究者がメタフォームと呼ぶ新しい光コンポーネントを実現する。
メタフォームは、従来の反射法則に抗して、全方向からAR/VRアイピースに入ってくる可視光線を集め、それを直接人の眼に方向を変える。
量子オプティクス、量子物理学教授、Nick Vamivakasは、ナノスケール構造を小さな無線アンテナに例える。「デバイスを活性化し、適切な波長でそれを照射すると、これらのアンテナの全てが振動を始め、われわれがダウンストリームで欲しい新しい光を放射し始める」と話している。
「メタサーフェスは、いわゆる“フラットオプティクス”である。したがって自由形状オプティクスにメタサーフェスを描くことは、全く新しいタイプの光コンポーネントを作ることである」とJannick Rollandは言う。
「この種の光学コンポーネントは、どんなミラー、レンズにも適用できる。よってわれわれはすでに、センサやモバイルカメラなど、他の種類のコンポーネントにアプリケーションを見つけようとしている」(Rolland)。
自由形状オプティクスが十分でなかった理由
最初のデモンストレーションは完了するまでに多年を要した。目標は、AR/VRグラスから眼に入る可視光を方向付けること。新しいデバイスは、それに役立てるためにフリースペース光コンバイナを利用する。しかし、そのコンバイナは、アイグラスフォーマットに順応させるように頭の周囲で湾曲した自由形状オプティクスの一部であるので、光の全てが眼に方向付けられない。自由形状オプティクスだけでは、この特殊問題を解決できない。
新しい光学コンポーネント作製にメタサーフェスを利用しなければならなかった理由は、それである。
「これら二つの技術、自由形状とメタサーフェスを統合し、両者が光とどのように相互作用するかを理解し、それを利用して優れた画像を得るのが大きな課題だった」と研究チーム、光学エンジニア、筆頭著者、Daniel Nikolovはコメントしている。
製造の問題
もう1つの問題は、Rollandによると、「マクロスケールからナノスケールへの」ブリッジであった。実際の焦点デバイスは、約2.5㎜径である。しかし、それでさえ、自由形状広角素子にインプリントされる最小ナノ構造よりも10000倍大きい。
「自由形状レンズの形状を変え、二つがシナジー的に機能するようにレンズにナノ構造を分布させるという設計的な視点から、優れた光学性能の光学デバイスが得られる」(Nikolov)。
光学設計ソフトウエアでメタサーフェスを直接規定できないことを回避する方法を見つけるために、ローランドグループの光学エンジニア、Aaron Bauerが必要だった。実際、統合メタ形状デバイスを達成するために様々なソフトウエアプログラムを使った。
製造は手強かった。電子ビームリソグラフィを使う必要があり、そこでは電子ビームを利用して、銀ナノ構造を堆積する必要がある薄膜メタサーフェスのセクションを除去した。湾曲自由形状表面に電子ビームで描画することは一般的ではなく、新しい製造プロセスの開発が必要だった。
:研究チームは、ミシガン大学のLurie Nanofabrication FacilityでJEOL電子ビームリソグラフィ(EBL)を使った。湾曲自由形状光学素子にメタサーフェスを形成するためにチームは、レーザプローブ計測システムを使って自由形状表面の3Dマップを作製した。次に、3Dマップは、JEOLマシーンにプログラムされ、製造に必要な各ナノ構造の高さで規定されるようにプログラムされた。
「われわれは、そのプロセスを何度も繰り返した後、そのマシーンの可能性を押し広げていた」(Fei Cheng)。
「これは夢の実現である。このプロジェクトの成功に極めて重要な統合されたチームワークが必要だった」とRollandは話している。
(詳細は、https://www.rochester.edu)