May, 17, 2021, 東京--東京理科大学工学部電気工学科の浜本隆之教授、亀田裕介講師(現在、上智大学理工学部情報理工学科助教)、岩渕清隆氏(修士課程2年)の研究グループは、次世代の撮像技術として期待される単一光子検出型撮像方式の時間解像度の高さを生かし、光子の少ない暗い環境でも被写体ブレを抑制する新たな画像再構成法を開発した。
この手法は従来の手法よりも被写体ブレを抑制しノイズも少なく、宇宙空間などの光がとても少なく暗い環境での高画質映像や、現在のハイスピードカメラを超える超スーパースロー映像を撮るための技術につながると期待される。
単一光子検出型撮像方式は、光子が少ない環境で画像を取得するために用いられる技術。単一光子検出型撮像方式では、入射光子の情報を二値画像列として取得し、画像再構成処理でその情報をマルチビット画像に変換する。この再構成処理において、被写体となる人や物に動きがある場面でも被写体ブレのない映像を取得するためには、動きボケ除去処理が必要になる。
研究では、異なる速度(向きと速さ)を有する複数の被写体が重なっているような複雑なシーンにおいても、高画質な画像再構成を行うことができる新たな動きボケ除去手法を提案した。この手法は、被写体の動きに応じた再構成を行うことで、注目する画素の周辺領域に着目した従来の動きボケ除去法よりも効率的に被写体ブレを抑制できる。入射光子の時間的な揺らぎを統計学的手法で評価することにより、より光子が少ない環境においても高精度な動き検出を可能にする新技術。また、この手法は、動きボケ除去に加えてノイズ除去処理を行うことで、被写体ブレを抑えたままピーク信号対雑音比がさらに1.2dB改善することが示された。
(詳細は、https://www.tus.ac.jp/today/archive/20210513_0959.html)