May, 13, 2021, 京都--京都大学、村井俊介 工学研究科助教、阿形健一 同修士課程学生(研究当時)、田中勝久 同教授は、3次元ナノアンテナを作製する新手法の開発に成功した。この技術を発光素子に応用すると、発光をより明るくすることができる。
ナノアンテナはナノ粒子を平面上に周期的に敷き詰めた構造で、例えば蛍光体基板の上にナノアンテナを作製すると発光の増大と指向性の付与が実現する。ナノアンテナを上下に重ねた3次元ナノアンテナができると、さらに大きな効果が期待できるが、これまで作製の困難さから研究が進んでいなかった。
研究グループは最近開発したナノアンテナシール技術を応用し、簡単に2層のナノアンテナが積層した3次元ナノアンテナ構造を作製する手法を開発した。2層の間に発光層を挟むことで、両層のナノアンテナ効果を同時に受けた発光の増大と指向性の付与ができることを実証した。
今回の実験はコンセプトの実証実験であり、それぞれのナノアンテナの構造と発光層の厚さには多くの改善の余地がある。研究チームは、今後の研究により、積層構造の最適化を通じた発光増強効果の最大化を目指している。
研究成果は、2021年5月10日に、国際学術誌「Journal of Applied Physics」のオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)