April, 23, 2021, Durham--デューク大学のエンジニアは、750万ドルDODプロジェクトを主導する。これは、広範な光の特性を捉えて処理できる「スーパーカメラ」実現のためのプロジェクト。
1000ワードのみならず、百科事典全体の価値がある写真を撮るカメラを開発する全国的な取組をデューク大学のエンジニアが主導する。
学際的大学研究構想 Multidisciplinary University Research Initiative (MURI)による750万ドル、5年コンペで、チームは、光の持つ、偏光、深度、位相、コヒレンス、入射角などあらゆる種類の情報を撮る「スーパーカメラ」を開発する。新しいカメラは、エッジコンピューティングとハードウエア加速技術も利用して、幅広い取得情報をデバイス内でリアルタイム処理する。
デュークの新プロジェクトに参加するのは、California Institute of Technology、City University of New York、Harvard University、Stanford University and the University of Pennsylvania。
「光のこれらの特性の多くを検出することは、過去には限界があったが、多くの特性を同時に捉えることは稀である。この考え、その追求力でさえ、実際、斬新であり、センシング分野を根本的に変える可能性がある」とデュークの電気・コンピュータ工学(James N. and Elizabeth H. Barton Associate Professor)准教授、Maiken Mikkelsenはコメントしている。
最先端の光学センシング向けの現在のカメラは、一般的に、一度に光の1つの特性に焦点を合わせるだけであり、大きくて高価なスキャニングシステムに依存している。このことが、それの利用を大幅に制限している。たとえ、より多くの情報を捉えることができるとしても、完全オンサイトでそれを解釈するために必要な計算処理能力により、それらはさらに大きくなる。
新しいMURIチームは、メタサーフェス、コンピュータ設計、基本的なモード光学および情報理論分野のブレイクスルーを活用して、イメージングシステムを実現する。これは、そのサイズと重量を同時に縮小改変しながら、センシングと処理の両方を取り扱うことができる。
その技術のイメージング側は、メタサーフェスをベースにしている。これはフラットなデバイスで、化学ではなく、その材料の構造によって生ずる電磁現象を利用する。例えば、Mikkelsenの専門は光学である。同氏は、金属の薄い層の近くに置いた微小な銀ナノキューブに光を捉えることで電磁活動を強化する。
2019年に同氏は、1個の安価なチップで赤外からUVまで光の6周波数を数兆分の1秒で捉えるプラズモンメタサーフェスの力を実証した。その研究の目標は、小さく安価なハイパースペクトルカメラの実現だった。アプリケーションは、ガン手術、食品の安全検査、精密農業。
その研究では、各々が光の特殊な周波数を捉えるように調整した、多数のグリッド状のセルを利用した。新研究もセルベースアプローチを利用するが、Mikkelsenによると、層ごとに特殊機能をもつスタック層も利用できる。とは言え、その構造にかかわらず、新しいイメージングデバイスは、単なる多様な周波数の検出以上に拡張する必要がある。
「捉えることが難しい、コヒレンス、深度などの情報を集められるようにするには重要なブレイクスルーが必要だ。そのように素晴らしいチームを作った理由はそこにある」(Mikkelsen)。
メタサーフェス利用センシングへの新たなアプローチの開発に取り組むのは、材料科学と工学、応用物理学の教授たち。また新たなナノフォトニクス検出コンセプトも焦点になる。
チームが、この情報の全てを捉えることができる薄い軽量のメタサーフェスを開発すると、その同じ小さなデバイスでそれを迅速処理するための新方法を開発する必要がある。このために、チームはエッジコンピューティングとハードウエアアクセラレーションを利用する計画である。エッジコンピューティングは、クラウドにデータを送るのではなく、局所的に処理する。処理は、ハードウエアーキテクチャで直接行われる。例えば、特殊なメタサーフェスは、物体の特定を支援するために物体の概要を抽出することができる。
要するに、プロジェクトは、ナノサイエンス、フォトニクスおよび情報科学を横断する新たな最先端研究である。これは、超小型、軽量、消費電力を要求する広範なDODミッションにとって重要なオンチッププラットフォームにおける最先端のイメージングの基板となる。
(詳細は、https://pratt.duke.edu)