April, 9, 2021, Providence--新しい研究によると、流動流体を制御する物理法則が分かる人工知能(AI)システムは、血流の画像、ビデオを分析することで毛細血管の圧力やストレスを推測できる。
ブラウン大学の数学者が開発したAI技術はいずれ、血栓や動脈瘤など血管の問題の重症度を医者が評価する際に役立つかも知れない。
その技術は、流動流体を調整する物理法則をエンコードしたマシンラーニングアルゴリズムを利用する。そのアルゴリズムにより、流体の動きの画像、あるいは短いビデオを分析するだけで、重要な流体の特徴、速度、圧力や他のパラメータを推測できる。Proceedings of the National Academy of Sciencesに発表された論文で、国際研究チームは、その技術を使って、糖尿病患者の眼によく生ずる微小動脈瘤の血流、血管の微小な膨らみの研究が可能であることを示している。
「ここでのアイデアは、これらの動脈瘤がどの程度深刻であり、破裂の可能性はどうであるかを医者が判断するために役立つシステムの開発である。深刻な障害前に介入すべき時期を判断する際に、それは役立つ」とブラウン大学応用数学・光学教授。George Karniadakisは説明している。
Karniadakisのチームは、そのAIシステムを、昨年Scienceに初めて報告した。同システムは、人間の脳のニューロンによる接続をほぼ模擬する人工ニューラルネットワーク。コンピューティングノードを利用するニューラルネットワークは、現代AIでは一般的であるが、Karniadakisのシステムには重要な変更を加えている。
この新しい研究では、Karniadakisは、南洋理工大学(NTU)、MITと協働した。チームは、そのAIシステムをマイクロ流体デバイスで自由に動作させた。デバイスは、微小なチャネルがエッチングされたマイクロチップである。微量の流体がそのチャネルを通って流れる。この場合は、マイクロ流体デバイスは、様々な形状とサイズの微小動脈瘤を持つ微小血管を模擬した。チップは、AIシステム用にトレーニングデータが供給されており、これによりシステムは、デバイスの壁で血流が生成する圧力やストレスについての予測ができた。研究チームは、そのAIアルゴリズムが、流れの重要な特徴を判断する上で他の方法より優れていることを確認した。
「現在、最小の血管で血流のメカニズムを計測するには、高度な装置と熟練した人員を必要とする」(Suresh)。「このプラットフォームでは、われわれは、重要な機械的情報、以前には抽出が非常に厄介だった、病気の進化メカニズムを入手することができる」。
Subra Sureshは研究の共同執筆者、前ブラウン大学教授。現在は、シンガポール南洋理工大学(NTU)プレジデント。
Karniadakisによると、チームは、医療専門家が直接利用できるようなAIシステムのバージョンを開発する考えである。そのシステムは、膨大なコンピューティングパワーを必要としないので、実質的にどんなラップトップでも走らせることが可能である。そのアイデアは、AIシステムと最先端の眼の血流イメージングシステムを統合する。
「リアルタイムで血流の詳細画像を生成する素晴らしい技術があるが、それは見ただけで圧力やストレスを推量するのは専門家でさえ難しい。このシステムは、それができる。また、処置を決定しようとしている医師に役立つ」とKarniadakisはコメントしている。
(詳細は、https://www.brown.edu/)