March, 26, 2021, Princeton--プリンストン大学の研究チームは、低濃度メタンガンスの実用的に、ローコスト検出ができる新しいセンサを開発した。メタン放出と漏洩の計測は、様々な産業にとって重要である。そのガスが地球温暖化と空気汚染に寄与するからである。
「農業と産業廃棄物処理業は大量のメタンを排出する。メタン漏洩の検出は、石油やガス産業にとっても環境的、経済的な理由で重要である。天然ガスは、主にメタンで構成されているからである」と同大学研究チームリーダー、Mark Zondloは、コメントしている。
Optics Expressで、プリンストタン大学と米国海軍研究所(NRL)の研究者は、新しいガスセンサを実証した。これは、インターバンドカスケード発光デバイス(ICLED)を使い、0.1 ppmまでのメタン濃度を検出する。ICLEDsは、中赤外発光の新タイプのハイパワーLEDであり、多くの化学物質計測に用いることができる。
論文の筆頭著者、Nathan Liは、「この研究が、最終的に、ローコスト、正確で高感度メタン計測に道を開くことを望んでいる。これらのセンサは、家畜や酪農場からのメタン排出の理解向上、気候危機のより正確で広範なモニタリングを可能にするために使える」とコメントしている。
安価なセンサの構築
レーザベースセンサは、メタン計測では、現在ゴールドスタンダードであるが、コストは、各10000ドルから100000ドルの間である。埋め立て地、石油化学ファシリティ、廃水処理プラント、あるいは農場からの漏洩を検出するセンサネットワークは、レーザベースセンサを利用すると法外に高価になる。
メタンセンサは、中赤外 LEDsで実証されているが、利用できるデバイスで生成される低い光強度によって制約されている。メタンガスモニタリング用に大幅に感度を高めた実用的なシステムを開発するために、研究チームは、Jerry MeyerのチームがNRLで開発した新しいICLEDを使用した。
「われわれが開発したICLEDsは、市販入手可能な中赤外 LEDsよりも約10倍高出力であり、量産の可能性がある。これにより、ICLEDベースセンサのコストは、センサ当たり100ドルを下回る」とMeyerはコメントしている。
メタンを計測するために新しいセンサは、メタンを含まない清浄な空気を問う変える赤外光を計測し、メタンを含む空気を透過した光と比較する。感度を上げるために、チームは、空気サンプルを含む1メートル長の中空コアファイバにハイパワーICLEDからの赤外光を通した。ファイバ内は、銀被覆されており、光がファイバから他端のフォトディテクタに透過する際に、光はその表面で反射される。これにより光は、空気中の付加的メタン分子と相互作用し、光の吸収率が高まる。
「センサ感度を上げるために、一般にはミラーを使用して光を何度も跳ね返らせるが、それは大きくなり、精密アライメントを必要とする。中空コアファイバはコンパクトであり、少量のサンプルガスを必要とし、機械的に柔軟である」とLiは説明している。
レーザベースセンサ
その新しいセンサをテストするために研究チームは、既知の濃度のメタンを中空コアファイバに流し、最先端のレーザベースセンサで、赤外透過サンプルと比較した。ICLEDセンサは、0.1ppmまでの濃度を検出することができた。これは、校正済みの基準とレーザベースのセンサの両方と極めて良く一致していることを示している。
「この精度レベルは、メタン汚染源付近の放出を十分にモニタできる。これらのセンサアレイは、大規模ファシリティに導入してメタン放出を計測できる。オペレータは、余裕をもって迅速に漏洩を検出し、緩和できる」(Li)。
研究チームは、センサの設計を改善して、長期フィールド使用に実用化する計画である。そのために、中空コアファイバの機械的安定性強化法を研究する。また、異常気象や周囲湿度や温度の変化がシステムにどのように影響するかも研究する。ほとんどのグリーンハウスガス、他の多くの化学物質は、中赤外光を使って同定できるので、そのメタンセンサは、他の重要ガス検出にも適用可能である。