March, 12, 2021, Pasadena--光を周回させ、閉じ込める(例えばレーザ内)光共振器は、現在あらゆるサイズの様々なアプリケーションで利用されている。髪の毛幅よりも小さなピンポイント光源から、重力波検出LIGO実験などキロメートルスケールのセンシングデバイスまでである。
光パラメトリック発振器として知られるデバイスは、オプティクスでは非線形共振器として広く利用されている。「非線形」とは、システムに光が流れ込み、光が流れ出すが、同じ波長ではないと言う意味。この共振器は、量子オプティクス実験を含む様々なアプリケーションで有用であるが、その出力波長、つまりスペクトルがどのように振る舞うかを支える物理学は、よく理解されていない。
「強力な非線形性を共振器に付加すると、いわゆるリッチ物理学領域に入る。物理学におけるリッチという用語は、通常、複雑で使いにくいことを意味するが、コンピューティング用のスイッチングなど、有用な機能創成には非線形性が必要である」とCaltech電気光学・応用物理学准教授、Alireza Marandiは説明している。
非線形光共振器をフル活用できるようにするために研究チームは、それらの機能方法を支える物理学を理解し、モデル化できるようになりたいと考えている。この目的のために研究チームは、先頃、そのリッチ物理学を設計する可能な方法を明らかにした。一方で、その共振器が生成する光における相転移の発見も明らかにした。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
通常、相転移という用語は、物質の物理的状態の変化を想起させる。状態の急変や特定点における挙動の急変の類比は、研究チームが光共振器で言及した特別な相転移の説明に役立つ。
研究では、チームは光ファイバと特殊なリチウムナイオベート(LN)でできた非線形導波路、様々な電気および光アプリケーションで使用される人工塩から光共振器を構築した。非線形共振器は、入力波長の約2倍の波長の光を生成できる。チームは、その共振器を様々な長さに精密調整し、生成された光のスペクトルが、特定の長さで急変することを確認した、物理的物質における相転移と類似である。
その発見は、基礎的および実用的意味の両方をもつ。基本的に、相転移はよく理解されたモデル化しやすい現象であり、非線形光共振器の「リッチ」物理学の簡素化に役立つ。実用的には、それらはセンサの構築に利用できる。「相転移は有用である。入力における些細な変化の反応を増幅するからである」とMarandiは話している。それらは将来の光コンピューティングアーキテクチャにおける「スイッチングメカニズム」になる可能性もある。
この研究は、ARL、NSF、NTT Research Inc.から助成を受けた。
(詳細は、https://www.caltech.edu/)