February, 25, 2021, 京都--京都大学、金光義彦 化学研究所教授、関口文哉 同特定助教、廣理英基 同准教授らの研究グループは、高強度のテラヘルツ(THz)パルスをハライドペロブスカイト半導体CH3NH3PbI3に照射すると、光励起キャリアのエネルギー損失速度が小さくなる現象を発見した。
ハライドペロブスカイト半導体は、安価な溶液法で作製できる半導体でありながら非常に高い光電変換効率を持ち、次世代の太陽電池材料として高い注目を集めている物質。その優れた光電特性は、この物質の特殊な格子振動(フォノン)と深く関係していると考えられているが、光励起キャリアのダイナミクスにおけるフォノンの役割について、従来の実験では間接的な情報しか得られていなかった。
研究では、CH3NH3PbI3のフォノンを高強度のテラヘルツパルスによって直接励起し、光励起キャリアのエネルギー分布の時間変化を測定し、テラヘルツ励起によって高エネルギーのキャリア分布(ホットキャリア)が増大し、そのエネルギー損失が非常に遅くなることを明らかにした。この結果は、フォノンを積極的に利用することで光励起キャリアのエネルギー損失を抑制できることを発見したもので、フォノンの制御が光電デバイスのさらなる効率向上の指針となることを示した。
研究成果は、Physical Review Lettersオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)