February, 24, 2021, Washington--スタンフォード大学の研究者は、ホログラフィックディスプレイの画像品質とコントラストを改善する新しいアプローチを開発した。新技術は、VR/ARアプリケーション向けニアアイディスプレイ改善に役立つ。
NVIDIA、スタンフォード大学研究チームメンバー、Jonghyun Kimは、「AR/VRシステムは、ユーザとデジタル世界間にシームレスな境界を提供することでわれわれの社会に変革的影響を与えると見られている。ホログラフィックディスプレイは、ユーザエクスペリアンスを改善し、よりコンパクトなデバイスを実現することでこれらのシステムの残る最大課題の一部を克服する」と指摘している。
Opticaに発表された研究で、チームは、マイケルソン干渉計からヒントを得た新しい光学設定と新しいソフトウエア開発との統合を説明している。そのセットアップは、デジタルホログラム作成に必要な干渉パターンを生成する。
「われわれは最近、マシンラーニング主導コンピュータ生成ホログラフィの大きな進歩を目にしているが、これらのアルゴリズムは基本的に、基盤にあるハードウエアをの制約を受ける。われわれは、新しいハードウエア構成と新しいアルゴリズムを共同設計し、これらの制約の一部を克服し、最先端の成果を実証した」とKimは説明している。
品質強化
ホログラフィックディスプレイは、VR/ARで用いられる他の3Dデイスプレイ技術を上回る可能性がある。よりコンパクトなティスプレイになり、ユーザの眼は様々な距離で焦点を合わせることができ、補正レンズを装着しているユーザも調整できるようにするからである。しかし、その技術はまだ、より一般的な技術の画像品質を達成していない。
ホログラフィックディスプレイでは、画像品質は、位相オンリー空間光変調器(SLM)として知られる光コンポーネンによって制約される。SLMは、可視3D画像の形成に必要な干渉パターンを作る回折光を生み出す。しかし、一般にホログラフィで使われているその位相オンリー空間光変調器は、回折効率が低いので、観察された画像の品質が著しく低下する。特に画像のコントラストの品質低下である。
SLMの回折効率の飛躍的向上は難しいので、研究チームは、ホログラフィック画像を作るために全く新しい光学アーキテクチャを設計した。ほとんどのセットアップにあるシングル位相オンリーSLMではなく、チームのマイケルソンホログラフィアプローチは、2つの位相オンリーSLMを利用する。
「マイケルソンホログラフィのコアアイデアは、他の非回折光を使って一つのSLMの回折光と破壊的に干渉させることである。これにより、非回折光は、スペクトルや他のアーチファクトを生み出すのではなく、画像形成に貢献する」とKimは説明している。
画像の最適化
研究チームは、この新しいハードウエア配置とカメラインザループ(CITL)最適化手順を組み合わせた。これは、チームの光学セットアップ用に改善したものである。CITL最適化は、コンピュータアプローチ。これを使うことで、ホログラムを直接最適化でき、またニューラルネットワークベースのコンピュータモデルを訓練することができる。
CITLによりチームは、カメラを使って一連のディスプレイ画像を捉えることができた。つまり、いかなる正確な計測デバイスも利用することなく、光学系の小さなミスアライメントを補正できる。
「コンピュータモデルを訓練すると、物理的に捉えることなく、想定通りの画像を正確に見つけ出すことができる。つまり、完全な光学的セットアップはクラウドでシミュレートできる。並列コンピューティングにより、コンピュータ的に重い問題でもリアルタム推測が可能。これは、例えば、複雑な3Dシーンでもコンピュータ生成ホログラムの計算に役立つ」。
研究チームは、研究室のベンチトップ光学セットアップを使い、新しいマイケルソンホログラフィアーキテクチャをテストした。複数の2Dおよび3Dホログラフィック画像の表示にそれを使った。これらは、従来のカメラで記録されたものである。デモンストレーションで確認されたことは、デュアルSLMホログラフィックディスプレイとCITLキャリブレーションが、既存のコンピュータ生成ホログラムアプローチよりも大幅に高品質の画像を生成したことである。
その新システムを実用化するには、ベンチトップセットアップをシステムにする必要がある。つまり、ウエアラブルAR/VRシステムに組みこめるほどに小さくすることである。研究チームは、ハードウエアとソフトウエアの共同設計アプローチは、コンピュータディスプレイやコンピュータイメージング一般に役立つと指摘している。