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Skoltech、オンチッププリント電子ノーズ(e-nose)開発

February, 19, 2021, Moscow--Skoltechの研究者とロシアおよびドイツの研究チームは、オンチッププリント「電子ノーズ」を設計した。これは、ポータブルエレクトロニクスやヘルスケアで使うことを目的とした、この種の低コストで敏感なデバイスの概念実証としての役割を果たす。研究成果は、ACS Applied Materials Interfacesに発表された。

急速に拡大するIoT分野、先進的医療診断は、小型でコスト効果の優れた低電力であるが、満足のいく程度の感度がある選択的ガス分析システム、いわゆる「電子ノーズ」のようなシステムを必要としている。こうしたシステムは、人の呼気の非侵襲的診断に利用できる。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断は、Skoltechが設計したコンパクトなセンサシステムで診断されている。これらのセンサは、センサアレイを使い、実際の鼻のように機能し、ガス化合物の複雑な信号の検出で優れている。

これらのセンサを作製する一つのアプローチは、積層造形技術(AM)の利用である。AM技術は、十分なパワーと精度を達成しているので、非常に複雑なデバイスを製造することができる。Skoltechシニア研究者、Fedor Fedorov、Albert Nasibulin教授、研究科学者Dmitry Rupasovとそのチームが、マルチセンサ「電子ノーズ」を作製した。これには、異なる8種の金属酸化物をマルチ電子チップ(マンガン、セリウム、ジルコニア、亜鉛、クロム、コバルト、スズ、チタン)にプリントした。Skoltechチームは、このプロジェクトのためにその考えを思いついた。

「この作業には、われわれはマイクロプロッタプリンティングと真の溶液インクを利用した。それを貴重にしている点がいくつかある。まず、プリンティングの分解能が、チップ上の電極間の距離に近い。チップは、計測が便利になるように最適化されている。われわれは、これらの技術が適合的であることを示した。2番目に、われわれは複数の異なる酸化物を利用することができた。これによって、より多くのチップからの直交信号で選択性が改善された。この技術は再現性があり、同様の特性を持つチップを得るために産業的に実行することは容易であるとわれわれは考えている。また、それは実際、電子ノーズ産業には重要である」とFedorvは説明している。

継続実験で、この「ノーズ」は、様々なアルコール蒸気(メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn-ブタノール)間の差を見つけ出すことができた。これらは、化学的には非常に類似しているが、空気中、低濃度では区別が難しい。メタノールは毒性が強いので、飲料物でそれを検出し、メタノールとエタノールを区別することは、生命を救うことさえある。そのデータを処理するためにチームは、線形判別分析(LDA)、パターン認識アルゴリズムを利用したが、他のマシンラーニングアルゴリズムもこの作業に利用可能である。

これまでのところ、そのデバイスは、いささか高い温度200-400℃で動作するが、研究チームによると、新しい擬似2D材料、MXenes、グラフェンなどを使うと、アレイの感度が向上し、最終的には、室温動作が可能になる。チームは、この方向で研究を続け、消費電力を下げるために使用される材料を最適化していく。
(詳細は、https://www.skoltech.ru)