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SEAS/Wyss Institute、水中を魚群のように泳ぐロボットの群を実現

February, 9, 2021, Boston--魚からヒントを得たロボットは、外部からの制御なしで、動きを連動させることができる。

魚群は、複雑な、同期行動を示す。それが、エサを見つけ、回遊し、捕食者を回避する際に役立つ。どの魚も、魚群も、この動きを調整するのでもなく、次に何をするかを相互に連絡をとっているわけではない。むしろ、この集団行動は、いわゆる暗黙の調整から出ている。個々の魚の意思決定は、隣の魚がしていることに基づいている。

この種の分散化、自律的自己形成は、以前から研究者、特にロボット工学分野の研究者を魅了してきた。

SEASとWyss Instituteの研究チームは、魚からヒントを得たロボットを開発した。これは、外部からのいかなる制御もなしで、実際の魚群のようにその動きを同期させることができる。水中ロボットで、複雑な3D集団行動を暗黙の調整で実証したのはこれが初めてである。

Florian Berlingerは、「ロボットは、人間がアクセスできない、あるい危険な領域、人の介入さえできないようなエリアに導入されることがよくある。こうした状況では、自給自足の高度に自律的なロボット群は実際、有用である。暗黙のルールや3D視覚を使うことで、GPSやWi-Fiなどがアクセスできないような水中で高度に自律的で柔軟性のあるシステムを作ることができた」とコメントしている。
 研究成果は、Science Roboticsに発表された。

魚からヒントを得たロボット群、Blueswarmは、SEASのコンピュータサイエンスRadhika Nagpalの研究室で開発された。同氏のLabは、自己組織化システムのパイオニア。1000ロボットKilobot群からシロアリからヒントを得たロボット建設作業員まで、開発している。

しかし、ほとんどの以前のロボット軍は2D空間で動作していた。3D空間、空気や水は、センシングや移動に大きな課題を課す。

これらの課題を克服するために研究チームは、青色LED光をベースにして、その魚ロボットに視覚ベース連携システムを開発した。個々の水中ロボットは、Bluebotと名付けられ、カメラと3つのLED光を装備。オンボード、魚眼レンズカメラが隣接BluebotsのLEDsを検出し、カスタムアルゴリズムを利用して距離、方向、進路を決める。LED光の簡素な提示と検出に基づいて、研究者は、Blueswarmが複雑な自己組織化行動、集合、分散、円形成などの行動を示すことを実証した。

個々のBluebotは、暗黙のうちに隣のロボットの位置に反応する。「ロボットを集合させたいなら、個々のBluebotが、各隣接ロボットの位置を計算し、中心方向へ移動する。分散させたいなら、Bluebotsは、その逆の行動をする。円を作って魚群として泳がせたいなら、時計回りに、前の光に直接追従するようにプログラムされている」(Berlinger)。

研究チームは、タンクの中の赤色光で単純な探索ミッションをシミュレーションした。分散アルゴリズムを使い、Bluebotsがタンクに広がり、最終的に一つがその光源に近づき、それを発見する。そのロボットが赤色光を発見すると、そのLEDが点滅を始める。それがトリガーとなって、ロボット群の残りで集合アルゴリズムが始動する。そこから、全てのBluebotsが、信号を発するロボットの周りに集まる。

「Blueswarmによるわれわれの成果は、水中の自己組織化集団行動の研究で重要な節目となる。この研究からの洞察は、今後、水中群開発に役立つ。それらは、視覚豊富であるが、脆い環境、例えば珊瑚礁で環境モニタリングや探査を行うことができる。この研究は、総合的にその動きを再現することで、魚群の理解を高めるための道を開く」とNagpalはコメントしている。

(詳細は、https://www.seas.harvard.edu)