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量子コンピューティング向け準最適チップベースフォトンソース

November, 10, 2020, Washington--ブリストル大学の研究チームは、新しいCMOS適合シリコンフォトニクス光源を開発した。これは大規模フォトニック量子コンピューティングに必要なすべての要件を満たすものである。この研究は、量産可能な理想的シングルフォトンソースへの大きな前進である。

チップベース量子コンピュータの開発には幅広い取り組みがある。今日のコンピュータチップを造るために使われる成熟したCMOS製造工程が、大規模情報処理のコストを大幅に下げるからである。研究者は、シリコチップで量子コンピュータを造るために必要とされる多くのコンポーネントを実証しているが、高品質フォトンを作るには厳しい要求があるため、オンチップシングルフォトン光源は、難題があることがわかっている。 

UKブリストル大学のStefano Paesaniは、9月開催のオールバーチャルOSA Frontiers in Optics and Laser Science APS/DLS (FiO + LS) conferenceで新しい研究を発表した。

「低雑音フォトン光源が大規模フォトニック量子コンピュータのすべての要件を同時に満たしていることを実証することによって、われわれは、量子フォトニック技術の拡張を制限していた重要問題を克服することができた。この研究で開発された技術は、量産チップスケール量子技術の開発を数年スピードアップすることができる。そのような技術は、非常に大きなコンピュータを利用しスピードアップ、無条件に安全な通信、量子で強化されたセンサを約束する」とPaesaniは説明している。

高品質フォトンの生成
その名が示すように、シングルフォトン光源は、シングルフォトンとして光を放出する。それらは光量子コンピュータのキーコンポーネントである。ここでは、そのフォトンを使ってqubitsの形でデータを運ぶ。qubitsは、同時に2つの状態が可能であり、相互に干渉、つまり相関し、多くの処理を同時に行う。

量子コンピューティングで使用されるシングルフォトン光源には、非常に厳格な要件がある。それらは、極めて見分けが難しく、ピュアでなければならない、ほぼ決定論的、つまり極めて効率的である、つまり量産適合でなければならない。これら全ての要件を満たすために、研究チームは、マルチモードシリコン導波路で、インターモーダル自発FWM(4波混合)に基づいて新しいシングルフォトン光源を設計した。

オンチップフォトン光源へのインターモーダルアプローチでは、マルチ光ポンプフィールド間の相互作用を使ってフォトンを生成するが、これによりフォトン放出を制御する新たな自由度が得られる。低損失マルチモード導波路形状とポンプフィールド間でオンチップ時間遅延を調整することで、研究チームは、ほぼ理想的なフォトンを達成するようにフォトンの自然放出特性を設計できることを示した。

新しい設計をテストするために、研究チームは、シングルフォトンデバイスを、商用ウエファでCMOS適合リソグラフィプロセスを使い、標準シリコン・オン・インシュレータに作製した。デバイスのテストで明らかになったことは、マルチモード導波路が伝送損失を大幅に減らしたこと。これにより光源固有の告知効率は約90%が可能になる。高い告知効率は、量子処理のスケールアップに必要である。

研究チームは、量子コンピュータにとって重要なオンチップフォトン干渉も行った。これらの実験は、96%の生データ認知度を達成し、これはこれまでに報告された集積フォトニクスの最高である。この成果により、フォトン間のオンチップ量子動作は前例のないレベルの精度となり、近未来の量子フォトニックデバイスで低雑音フォトン処理をスケールアップする可能性を開く。

研究者によると、そのシングルフォトン光源は、より優れた励起レーザにより、またより均一な製造工程を利用することでさらに改善できる。

(詳細は、https://www.osa.org/)