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世界最高速の帯域100 GHzを超える直接変調レーザを開発

October, 30, 2020, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、東京工業大学(東工大)科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の小山二三夫教授と共同で、高熱伝導率を持つSiC基板上にインジウムリン系化合物半導体を用いたメンブレンレーザを開発した。直接変調レーザとして世界で初めて3dB帯域が100 GHzを超え、毎秒256ギガビット(Gb/s)の信号を2 km伝送できることを確認した。

直接変調レーザは、現在、データセンタで広く使用されているが変調速度に限界があり課題とされてきた。この研究成果を用いれば、今後予想されるトラフィックの増大に低コスト・低消費電力に対応でき、またこの技術の研究開発を進展させることで、NTTが提唱するIOWN構想を支える大容量光伝送基盤の実現に貢献する。

今回、研究チームは、活性層での発熱を抑えることを目的にSiO2の約500倍の高い熱伝導率をもつ炭化ケイ素(SiC)基板上にインジウム燐(InP)系メンブレンレーザを作製した。SiCはInPと比較して屈折率も小さいことから、光閉じ込め係数もSiO2上の素子とほぼ同等。素子作製は、極薄膜(40nm)のSiO2を間に挟んで直接接合を用いた。100mWの発熱源を仮定した計算では、活性層長50µmのメンブレンレーザの活性層の温度上昇は、SiO2膜厚が2µmから40nmになった場合、130.9度から16.8度に大幅に削減されることがわかった。実際に作製した素子では、緩和振動数が最大値となる電流値はSiO2上の素子では5.5 mAだったが、今回の作製した素子では30 mAまで大きくすることができ、世界最高の緩和振動周波数42 GHzと3dB帯域60 GHzが得られた。

さらに、出力導波路端面からの光フィードバックを用いて、フォトン-フォトン共鳴が95 GHz付近で起こるような素子を設計した。その結果、3dB帯域108 GHzを得るとともに、256Gb/sのPAM4信号の生成、および2 km伝送に成功した。

研究成果は、英国時間「Nature Photonics」のオンライン速報版で公開された。

(詳細は、https://www.titech.ac.jp)