October, 15, 2020, 東京--富士通研究所は、理化学研究所、東京大学、大阪大学、オランダのDelft University of Technology(デルフト工科大学)と、量子コンピューティングの実現に向け、デバイスレベルから制御システム、アーキテクチャ、アルゴリズムに至るすべての技術レイヤーにおいて、それぞれの領域で共同研究を開始する。
富士通研究所は、量子コンピューティングにおける各技術レイヤーの研究を総合的かつ効率的に推し進め、現在、求解が困難な問題を抱える様々な応用分野に量子コンピューティングを適用することで、顧客へのさらなる価値提供を目指し、持続可能な社会の実現に向けて貢献していく。
共同研究の概要
1.理化学研究所・東京大学との研究
超伝導量子ビット技術に強みをもつ理化学研究所・東京大学と、現在、最も有望視されている超伝導方式量子コンピュータの共同研究を行う。量子デバイスから制御エレクトロニクス・ソフトウェアまでトータルに取り組み、古典コンピュータとうまく連携させたコンピュータシステムの実現を目指す。
2.デルフト工科大学との研究
ダイヤモンド中のスピン状態を利用した量子ビット技術に強みを持つデルフト工科大学と、スピン量子ビットを利用した量子コンピュータの基礎研究・開発に取り組む。そのような量子ビットは、ダイヤモンドに不純物原子を注入することにより形成することができ、ダイヤモンドNVセンターがその一例。この方式では量子ビットの状態に光でアクセス可能であり、離れた量子ビット間の演算がほかの量子ビットからのクロストークの影響を受けずに行えるため大規模化に向いている上、ほかのタイプの量子ビットに対し比較的高温でも量子状態を保てるので、冷却部の小型化が期待されている。デバイスや制御系の技術開発のほか、新たな結合トポロジーを使った新規エラー訂正手法の可能性についても検討する。この研究は、デルフト工科大学とオランダ応用科学研究機構が共同で設立した世界有数の量子技術研究機関であるQuTechで実施される。
3.大阪大学との研究
量子計算の理論分野に強みを持つ大阪大学大学院基礎工学研究科と量子アルゴリズムの研究開発を行う。アプリケーション用のアルゴリズムに加え、誤り耐性をもつ量子コンピューティングの実現に必要となるエラー訂正技術の研究に取り組む。
(詳細は、https://pr.fujitsu.com)