October, 14, 2020, Stanford--マリボル大学の研究チームは、小さな物体から加わる極めて小さな力を計測できる微小ファイバオプティク力センサを開発した。その新しい光ベースのセンサは、MEMSベースの力センサの限界を克服し、医療システムから製造までのアプリケーションに有用である。
「力センシングのアプリケーションは多いが、小さな物体の力を計測できる非常に微小で多目的の力センサは存在しない」とスロベニア、University of MariborのDenis Donlagic、研究チームリーダーは話している。「われわれのセンサは、これまでに設計された最小にして、最も多用途の光ファイバ力センサの1つとして、このニーズに応える」。
Optics Lettersで、研究チームは、わずか800µm長、100µm径の円筒形に作製されたシリカガラスの新しいセンサを紹介している。チームは、それを使って、タンポポのタネに堅さ、あるいは液体の表面張力を計測、マイクロニュートンよりも優れた分解能で力を計測する新しいセンサの能力を実証している。
「高分解能の力センシングと広い計測範囲は、小さな物体の敏感な操作や加工、非常に小量の液体の表面張力計測、細胞レベルで生体サンプルの操作、機械的特性の検査に使える」とDonlagicは説明している。
オールガラスセンサの作製
MEMSベースのセンサは、微小な力センシング能力を提供できるが、そのアプリケーションは限られている。その種のセンサは、アプリケーションに特化した保護パッケージングやマルチ電気接続を必要とするからである。適切なパッケージングがないと、MEMSデバイスは、生体適合にもならず、水中に沈めることもできない。
もっと万能の微小力センサを開発するために研究チームは、完全ガラス製のオール光ファイバセンサを開発した。複雑な作業は、特殊なエッチングプロセスで可能になった。これは、研究チームが、複雑なオールファイバマイクロ構造を造るために以前に開発したいたものである。チームは、このマイクロマシニングプロセスを利用して、ファブリペロ干渉計ベースのセンサを作製した。2つの平行反射面からなる光学キャビティである。
薄いフレキシブルシリカダイアフラムを取り付けたそのセンサのリードインファイバ端を使って、微小な干渉計が実現されている。先端の円形または円筒形力センシングプローブのいずれかのシリカポストに外力が加わると、サブナノメートル分解能で計測できるように、それが、干渉計の長さを変える。
センサ構造を製造する方法が、空気封止キャビティを造る。これは、汚染から保護し、生体環境での利用に適している。それは、様々な液体中に入れることができるだけでなく、プラス力とマイナス力も計測でき、ほとんどのアプリケーションで付加的パッケージングを必要としない。
微小な力の計測
そのセンサを評価、構成した後、チームはそれを使って、人の髪の毛とタンポポのタネのヤング率(剛性の測定)を計測した。また、液体の表面張力も計測した。これは、微小なシリンダが液体から除去されるとき、収縮力を計測することで行われた。研究チームは、分解能約0.6マイクロニュートン、約0.6ミリニュートンの範囲の力で力を計測できた。
「その力センシングチップは,非常に小さくすることができ、直径10µm程度になる。また、様々な力センシングにも適用できる。微小力センサは、より複雑なセンサの実現にも利用できる。例えば、磁界や電界の計測、流体の表面張力の測定など」とDonlagicはコメントしている。
研究チームによると、センサの現在のバージョンは直ぐに使える。しかし、過負荷堅牢性の向上、他の形状のプローブチップの作製、あるいは微小化パッケージングにより、潜在的なアプリケーションをさらに拡大できる。チームは、センサを製造するプロセスの自動化に取り組んでいる。これにより、それは、さらに実用的になる。