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眼内水晶体の混濁度や分光特性を数秒で測定できるシステムの開発

October, 13, 2020, 福岡--目の中にある水晶体は加齢に伴い混濁(光学濃度が上昇)していき、光の透過率が低下する。水晶体がどのくらい混濁しているのか、どの波長の光をどのくらい通すのか(分光透過率)といった情報は、例えば白内障の診断や視覚・色覚研究、体内時計の光同調作用を代表する非視覚研究などに役立つと考えられる。しかし、生体における水晶体の混濁度や分光透過率などを簡便かつ同時に測定できる方法はこれまで確立されていなかった。

 九州大学大学院芸術工学研究院の樋口重和教授と同大学院統合新領域学府博士後期課程の江藤太亮大学院生らは、光を目に入射したときに現われる第4プルキンエ像(水晶体の後面からの反射像)を利用して、安全に簡便かつ短時間(現状約4秒)で水晶体の混濁度や分光透過率を測定可能なシステムをSingapore Eye Research Instituteの研究者と国際共同開発した(特許出願済み)。このシステムは、光を照射する光源装置と、プルキンエ像を取得するための撮像素子、解析用PCのみで構成されたシンプルなもので、将来的には持ち運び可能な小型デバイスの開発にもつながる。水晶体の混濁度だけでなく分光特性を評価することができるので、白内障の診断はもちろん、水晶体が関わる研究分野において新たな発見に貢献できる可能性が考えられる。

 研究成果は、「Scientific Reports」で公開された。
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)