October, 13, 2020, 東京/大阪--東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授、大阪大学レーザ科学研究所の中嶋誠准教授は、他の大学、企業の研究者と協力して、ミリ波・テラヘルツ波を用いた新しい磁気記録方式「ミリ波磁気記録」の開発に成功した。
ビッグデータとIoTの時代に突入し、データアーカイブはその鍵の一つとなる基盤技術。磁気テープは、長期記録保存の信頼性を有し、省電力・低コストであるため、クラウドや業務用データアーカイブとして活発に利用されており、その需要が伸びている。増大を続ける膨大な量のデータを保存するためには、更なる記録密度の向上が必須である。
研究グループは、ミリ波磁気記録の確立を目指し「集光型ミリ波アシスト磁気記録(Focused Millimeter wave–assisted Magnetic Recording, F-MIMR)」という新手法を提案した。この研究では、そのデモンストレーションのため、将来的な磁気テープ用磁性粉かつBeyond 5G用ミリ波吸収材として注目されているイプシロン酸化鉄の磁性フィルムを作製すると共に、テラヘルツ(THz)光源を利用した集光型ミリ波発生装置を開発した。集光型ミリ波をイプシロン酸化鉄磁性フィルムに照射したところ、磁極方向が反転し、書込みを確認することができた。このF-MIMRは、Beyond 5Gの光・電磁波と磁気記録を組み合わせた、Beyond 5G時代の画期的な磁気記録方式であり、磁気記録密度を著しく高めることが可能となる。
研究成果は、Advanced Materials誌オンライン版で公開された。
研究グループ
東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授、大阪大学レーザ科学研究所の中嶋誠准教授、富士フイルム株式会社記録メディア研究所の白田雅史研究マネージャー、堂下廣昭所長らの共同研究グループは、筑波大学数理物質系の所裕子教授、東京大学の宮下精二名誉教授、株式会社日立ハイテクの山岡武博氏ら
(詳細は、https://www.s.u-tokyo.ac.jp/)