October, 13, 2020, 東京--理化学研究所(理研)光量子工学研究センターアト秒科学研究チームの神田夏輝研究員(研究当時)、アマニ・レザ研究員(研究当時)、鍋川康夫専任研究員、緑川克美チームリーダー、東京大学大学院理学系研究科の五神真教授(現総長)らの共同研究グループは、二つの異なる波長域の極端紫外高次高調波を3メガヘルツ(MHz)の超高繰り返しで同時に発生できるレーザ光源を開発した。
この研究成果は、時間分解光電子分光など、物質の超高速運動の様子を観測するための重要なツールになると期待できる。
極端紫外波長域の高次高調波は、コヒーレンス、短波長性、短パルス性などに優れているが、繰り返し周波数が低い(最大でも数十kHz)という課題があった。
今回、共同研究グループは、長さ約100mの周回型レーザ共振器を真空チェンバー内に組み上げた。レーザ媒質として熱交換効率の良いYb:YAG薄ディスクを用いることで、1kWを超えるパワーで励起が可能になった。その結果、モード同期レーザ発振において、レーザパルス光の繰り返し周波数は約3MHzに、パルスエネルギーは従来の約100万倍に及ぶ0.7mJに達した。共振器内2カ所の集光点に、それぞれネオンガスおよびアルゴンガスを吹き付けたところ、ネオンガスからは波長域24ナノメートル(nm)~60nm、アルゴンガスからは波長域50nm~115nmの極端紫外高次高調波を同時発生させることに成功した。
研究成果は、オンライン科学雑誌『Light: Science & Applications』に掲載された。
(詳細は、https://www.issp.u-tokyo.ac.jp)