October, 2, 2020, Raleigh--ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の研究チームは、低エネルギー、可視光を使い純粋モノマ溶液からポリマーゲル体を作る方法を実証した。
その研究は、これらの物質を製造する現在の問題に潜在的なソリューションを提起しただけでなく、低エネルギーフォトン結合で高エネルギー励起状態を作る方法も明らかにした。
ポリマー製品、主にプラスチックは、水のボトルから医療アプリケーションまであらゆるものに使われており、この材料の年間生産量は数十億ポンドである。良質ポリマーは、フリーラジカル重合というプロセスで製造できる。そこではモノマ溶液がUV光に晒される。UV光の高エネルギーが反応を可能にし、ポリマーを形成する。この方法の利点は、化学的廃棄副産物が少なく、環境への影響が少ないことである。
しかし、この方法では、欠点は避けられない。これらポリマー生成に用いられる高エネルギーUV光は、プラスチックを劣化させ、特定素材の製造には適さない。
NC State、Goodnight Innovation化学名誉チェア、Felix N. Castellanoは、より強力な励起状態を達成するために低いエネルギー分子の励起状態を結合できることを以前に示した。新しい研究では、Castellanoのチームは、低エネルギーのイエローまたはグリーンの光を使ってポリマーゲルを造るために、ホモ分子三重項-三重項消滅(homomolecular triplet-triplet annihilation)というプロセスをポリマー製造に適用した。
チームは、亜鉛(Ⅱ)メソテトラフェニルボルフィン(ZnTPP)を2つの異なる純粋モノマ、トリメチロールプロパンアクリラート(TMPTA)とアクリル酸メチル(MA)に溶かし、次にその溶液を黄色の光に晒した。光からのエネルギーが、ZnTPPにホモ分子トリプレットを作り、これらのトリプレットが結合すると、極短命のS2励起状態ができる。これは、重合プロセスを起こせるだけのエネルギーである。
「トリプレットは、化学的条件では実際、長寿命であり、寿命はミリ秒だが、S2励起状態の寿命はピコ秒、つまり9桁少ない。この研究の重要側面の一つが実証していることは、純粋液体があれば、この強力で短命の励起状態を利用して、重要な変化を促進できるということである。原液は、電子が効率的に移転することを保証する」とCastellanoは説明している。
チームは、その溶液の分光分析を行い、イエローとグリーンの光の存在下でS2励起状態の存在を達成した。「われわれはZnTPPを使用した。それにより2つの異なる励起状態からの発光が確認でき、低エネルギーS1と高エネルギーS2状態を区別できるからである。われわれに分かっていることは、次のことである。ポリマー形成は、S2励起状態の直接的結果であるるが、それは分光学的に起こっていることも示している」とCastellanoは話している。
研究成果は、Chemオンラインに発表された。
(詳細は、https://news.ncsu.edu)