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UCF、産業用レーザからアト秒の光を生成

September, 25, 2020, Cambridge--セントラルフロリダ大学の研究チームは、最先端のアト秒科学領域をあらゆる分野の研究者にとってより利用しやすくしようとしている。
 その領域を開くために役立つ方法は、Science Advancesに掲載されている。

アト秒の精度で計測する能力により研究者は、原子や分子内部の電子の高速運動をその自然の時間スケールで研究することができる。

この高速運動の計測は、光と物質の作用の仕方の基礎的な側面を理解するのに役立つ。発電のための太陽エネルギー収集、化学兵器や生物兵器の検出、医療診断の取り組みに情報を提供する。

「アト秒科学の最大課題の一つは、それが世界最高のレーザファシリティに依存していることだ。幸い、われわれはUCFにその施設を持っている。世界中にさらに10以上はあるだろう。しかし、残念ながら、そのどれも、他の分野の研究者が入りこみ研究のために利用する ‘ユーザファシリティ,’として運用されているものは存在しない」とUCFの物理学部准教授、Michael Chiniはコメントしている。

このようにアクセスできないことは、化学者、生物学者、材料科学者など、アト秒科学技術をそれぞれの分野に適用することから得られる利益の障害となっている。

「われわれの研究は、アト秒パルスをより広範に利用できるようにする方向で大きな前進である。アト秒パルス生成に産業グレードのレーザが利用できることを示している。このようなレーザは、数10のベンダから、約100000ドルで購入できる」(Chini)。

同氏によると、セットアップは簡単であり、多様なパラメタを持つ様々なレーザとともに使える。

アト秒科学は、ソナーあるいは3Dレーザマッピングのように機能するが、遥かに小さなスケールである。アト秒パルスが物質を透過すると、物質内の電子との相互作用がパルスを歪める。この歪みを計測することで、研究者は、電子像を構成し、その動きのムービーを作ることができる。

一般に、レーザをアト秒で動作させるために、研究者は複雑なレーザシステムを使っており、大規模なラボファシリティやクリーンルーム環境を必要としている。

本質的に、電磁波のシングル振動サイクルだけで構成される、アト秒研究に必要な極短パルスを作るには、キセノンやアルゴンなどの希ガスで満たされたチューブでレーザを伝搬させて、パルスを時間的にさらに圧縮しなければならない。

しかし、Chiniのチームは、そのような少ないサイクルパルスを一般に入手できる産業グレードレーザから得る方法を開発した。これは、以前には、遙かに長いパルスしか生成できなかった。

チームは,産業グレードレーザからの約100サイクルパルスを、チューブ内で希ガスの代わりに亜酸化窒素などの分子ガスを使い、またガスを通すパルスの長さを変えることで圧縮する。論文によると、チームはわずか1.6サイクルへの圧縮を実証している。シングルサイクルパルスは、その技術で手の届くところにある、と研究チームは話している。

博士課程学生、論文の筆頭著者、物理学部のJohn Beetarによると、ガスとパルス幅の選択が重要である。

「チューブが分子ガス、特に線形分子ガスで満たされていると、レーザ場で整列する分子の傾向により、効果が増強される」(Beetar)。

「とは言え、この配列による増強は、回転配列を誘発し、それを原因とする効果を経験するほどにパルスが長い限りにおいてである。ガスの選択は重要である。回転配列時間が分子の慣性に依存するからである。また、それにより、われわれの望むとおりに、これがレーザのパルス幅と一致するように増強が最大化される」。

「商用、産業グレードレーザを利用することに関わる複雑さの低減がアト秒科学をアプローチしやすくし、ほとんどレーザのバックグラウンドをもたない研究者による学際的アプリケーションが可能になる」とBeetarは話している。

(詳細は、https://www.ucf.edu)