September, 23, 2020, University Park--ミバエが、びっくりするほどの高速反応(瞬きの約30倍)で飛行制御強化にどのように目の動きを利用するかを調べることで、ペンステートの研究チームは、ロボットでこの能力を模倣するためのフレームワークを詳細に説明している。
チームは、LED光で構築された仮想現実飛行シミュレーションに縛り付け、高速カメラを使って記録されたミバエの動きをProceedings of the National Academy of Sciencesに発表された論文で説明した。
機械工学を研究する院生、論文の筆頭著者、Benjamin Celliniは、「ハエの最高の飛行を研究することができれば、すでに生物学に存在する、信じられないような工学ソリューションを発見できる」とコメントしている。
研究チームは、ミバエが見ているものに反応してその翅を迅速に調整するために目の動きをどのように利用するかを見つけ出すことができた。ハエの目は頭に固定されているので、チームはハエがどこを見ているかを推論するために頭の動きを追跡した。
凝視を安定させることは、ほとんどの生物ができる日常的現象である。例えば、われわれはシームレスに目、頭それに身体を動かして部屋をスキャンする。
「しかしそれは、理解が難しい複雑な問題である。われわれや他の動物は、それをうまくするにはどうするのか。われわれの研究室は、工学と生物学の1分野である能動センシングに関心を持っている。部屋をスキャニングする目のようにセンサの動きがどのようにセンシング自体を強化できるかを研究する」とMongeauは話している。
この分野の以前の研究の多くは、翅の動きに注目していたが、ハエのような生き物が、どのように動的な目の動きを利用して飛行を制御できるかを理解するとロボットを大幅に強化できる。現在、ほとんどのロボットは固定センサを持ち、センシングと動作は分離されている。しかし、身体で動くことができる視覚センサの調整により目と脳をよりよく模倣することで、ロボットの飛行制御は著しく改善される。
この理論をサポートすることで、研究者はミバエの眼が、ハエの身体、翅よりも4倍速く反応できることを確認した。これらの反応は、密に結合しており、ハエが眼の動きに強く依存してその翅の動きを調整していることを実証している。
「われわれは、ハエの目が、モーションブラー(motion blur)を抑制することで、最初に考えていたよりもその視覚をうまく制御し安定化できることを示した」とCelliniは説明している。
加えて、研究チームは、ハエの頭に慎重に接着剤を着け、仮想飛行シミュレータで記録すると、頭の動きの制約が、飛行パフォーマンスに著しく影響を及ぼすことを確認した。
「われわれがここで発見した重要な原理は、ハエの目が脳に入っていく視覚運動を減速し、このプロセスがハエの飛行行動を強化することである」とMongeauは話している。
この研究で実証されたように、研究者は、生物学的世界の秘密を解放することで技術にとって幅広い意味を獲得できると考えている。
「工学では、問題解決に数学や物理学から原理を適用するように教わる。火星を飛ぶロボットを造りたいなら、可能性のあるソリューションを得るために工学的コンセプト利用することができる。しかし、必ずしも最初からアイデアを開発する必要はない。自然からもインスピレーションを探すことができるからである」とCelliniは話している。
(詳細は、https://news.psu.edu/)