August, 31, 2020, Troy--レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute)の研究者によると、19世紀後半より研究者は、あらゆる材料が加熱によって、予測可能な特定波長スペクトルで発光することを理解していた。Nature Scientific Reportsの研究論文では、同大学物理学教授、論文の筆頭著者、Shawn Yu Linは、加熱によって自然法則の制約を上回る光を発する材料を報告している。
1900年、マックスプランクは、初めて放射パタンを数学的に記述し、エネルギーは離散値でのみ存在する仮定で量子時代を開いた。火カキが赤く発光するように、温度上昇はすべての物質が放射強度を強くする原因となり、熱が高くなるにしたがい発光スペクトルのピークは短波長側にシフトする。Planck’s Lawと調和すると、エネルギーを完全に吸収する、いわゆる「ブラックボディ」という仮想物体よりも多くの放射が可能なものは何もない。
Rensselaer Polytechnic Institute の物理学者、論文の筆頭著者Shawn Yu Linが発見した新しい材料は、プランクの法則の限界に挑み、レーザまたはLEDsで生成される光に似たコヒレント光を放出するが、そのような技術の誘導放出に必要な高価な構造は不要である。Nature Scientific Reportsに発表された分光学研究だけでなく、Linは以前にIEEE Photonics Journalにイメージング研究を発表している。両方とも、1.7 µm程度に放射スパイクを示している、これは電磁スペクトルの近赤外部分である。
Shawn Yu Linによると、これら2つの論文は遠赤外におけるスーパーブランキアン放射の最も説得力のある証拠である。「これは、プランクの法則に反しない。それは熱放射を生み出す新しい方法であり、新しい基本原理である。この材料、また、それが代表する方法は、熱光起電力や効率的なエネルギーアプリケーション向けの、スーパー強度、チューナブルLED的赤外エミッタの実現に新たな道を開く」。
同氏の研究でLinは、3次元タングステンフォトニック結晶(フォトンの特性を制御できる材料)を構築した。それは、6オフセット層があり、ダイヤモンド結晶と同じ構成であり、さらに光を改良する光キャビティで覆われている。そのフォトニック結晶は、その材料から発せられた光スペクトルを約1µmのスパンに圧縮する。そのキャビティは、エネルギーをほぼ0.07µmのスパンに圧縮し続ける。
Linは、2002年に最初のオールメタリックフォトニック結晶を造ってから、この進歩を確立するために17年取り組んできた。2つの論文は、同氏が行った最も厳しいテストを示している。
「実験的に、これは非常に堅実であり、実験を行った者として、わたしは自分のデータを支持する。理論的視点からは、まだだれもわたしの発見を十分に説明する理論を持っていない」(Lin)。
イメージングと分光学の両方の研究で、Linは自分のサンプルとブラックボディコントロール(材料の上に垂直に配置されたナノチューブのコーティング)を単一のシリコン基板上に並べて準備した。これによりサンプルのテストと制御との間の変化、実験結果に妥協を持ち込むことになる変化の可能性が除去される。真空チャンバ実験で、サンプルと制御は、600Kに加熱された。
Nature Scientific Reportsで、Linは、5箇所からのスペクトル分析を示していている。これは、赤外分光計のアパチャが、ブラックボディで満たされた視界から材料の一つに動く際に採った5箇所である。ピーク発光は、1.7 µmだった。これは、ブラックボディレファランスよりも8倍高強度である。
IEEE Photonics Journalの論文は、近赤外の従来のCCDで撮った画像を示している。これは、その材料の見込める放射を捉えることができるカメラである。
関係のない最近の研究は、そのサンプルからの2熱波長以下の距離で同様の効果を示しているが、Linのものは、30センチの距離(約200000波長)で計測した、超プランキアン放射を示す初の物質である。結果は、光が完全にその材料の表面から出たことを示している。
理論はその効果を完全に説明しないが、Linは、フォトニック結晶層間のオフセットにより光が結晶内の多くの空間から出ると仮定している。放出光は、その結晶構造の閉じ込め内で前後に跳ね回る。これが、その光の特性を変えるので、表面に進んで光キャビティにぶつかる。
「われわれはその結晶内から光が来ると考えているが、その構造には非常に多くの面がある、非常に多くのオシレータとして機能する面、非常に強い励起があるので、それはほぼ人工レーザ材料のように振る舞う。それは、単なる従来の表面ではない」(Lin)。
その新しい材料は、環境発電、軍の赤外ベース物体追跡と特定、排熱や局所発熱による赤外高効率光源の生成、赤外の環境や大気および化学的分光学、レーザのようなサーマルエミッタとして光物理学などのアプリケーションで利用できる。
(詳細は、https://news.rpi.edu)