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先例のないスピードと解像度のX線画像

August, 27, 2020, Chandler--イスラエルのBar-Ilan University研究チームは、新しい高分解能X線イメージング技術を実証した。これは、急速に動く物体の運動、素早く変化する動力学を捉えることができる。その新しい方法は、動く機械的コンポーネントの非破壊イメージングに利用できる、また医療X線イメージングでは以前にはできなかった生体プロセスを捉えることができる。

「われわれが実証した技術は、どんなX線源でも利用できる、またローコストでシンプル、ロバストである。したがって、研究室外の高速動力学の計測にX線を利用する可能性が開かれる」と同大学研究チームリーダー、Sharon Shwartzはコメントしている。

Optics Expressで研究チームは、その新しいX線イメージングアプローチを説明している。これは、高い空間分解能で高速イメージングスピードを達成するためにゴーストイメージングとして知られる非伝統的なイメージング法を利用している。100000 fpsで回転するブレードのX線ムービーの作成がその技術を証明している。

「この技術に基づいた医療イメージングシステムは、医師にとって新たな診断ツールとなりうる。例えば、われわれのアプローチを使って、患者への放射線量を大幅に減らしながら、心臓の高解像度ムービーを作ることができる」とShwartzは説明している。

表面を透過して見る
X線は、可視光には不透明な表面を透過する独特な能力があるので、イメージングにとって有用である。従来のX線イメージングは一般に、各ピクセルが特定点でX線ビームの強度レベルを計測するピクセル化カメラを使用する。

より高い解像度のX線画像を撮るには、より多くのピクセルが膨大な量のデータを生み出す必要がある。これは、転送に時間がかかる。つまりイメージング速度と空間分解能とのトレードオフであり、そのために高解像度で高速イベントを撮ることは不可能である。極めて強力なX線を必要とする非常に特殊な技術は、このトレードオフを克服できるが、これらのX線源は、世界中に数ファシリティしかない巨大なシンクロトロンでのみ利用できる。

新しい研究では、チームはゴーストイメージングを利用した。これは、イメージング速度を改善できるシングルピクセルディテクタを利用しているからである。ゴーストイメージングは、対象にについて個別には意味のある情報を持っていない2つのビーム、この場合は、X線ビームを、相関させることで機能する。一つのビームが、レファランスとして働くランダムパタンをエンコードするが、サンプルの直接的プローブは行わない。他方のビームは、サンプルを透過する。撮像される対象と接触するX線パワーは非常に小さいので、ゴーストイメージングは、医療イメージング用途でも、X線露光を減らすのに役立つ。

「シングルピクセルディテクタはピクセル化ディテクタよりもはるかに高速にできるが、画像再構成に必要な空間解像度が得られない。われわれは、ゴーストイメージングを使ってこの問題を克服し、最先端のX線ピクセル化ディテクタに匹敵する、あるいはそれよりも優れた空間解像度で高速動力学を撮像できることを示した」とShwartzは説明してる。

シンプルソリューション
 ゴーストイメージングに必要なレファランスビームを作るためにチームは、モーター駆動ステージに搭載した標準サンドペーパーを利用した。これは、高解像度、スローフレームレートピクセル化X線カメラで記録するランダムパタンを作ることが目的。ステージが各位置に動くと、X線ビームがサンドペーパーの様々な場所に当たり、ランダムビーム伝達、つまり強度変動ができる。

次にX線ビームからピクセル化カメラを除去して、撮像対象とシングルピクセルディテクタを挿入した。モーター駆動ステージを動かして、サンドペーパーの様々な位置に取り込んだ強度変動パタンで対象を照射した。次に、シングルピクセルディテクタを使い、ビームが対象に当たった後のトータル強度を計測した。

 高速運動のブレードをイメージングするこのアプローチを使うために、チームはブレードの動きに計測を同期させた。最終画像は、レファランスパタンと、ブレードの各位置でシングルピクセルディテクタで計測された強度を相関させることで再構成される。

 研究チームは、様々な位置でブレードを捉えるためにフレームごとに画像再建を行うことで動くブレードのムービーを作成した。結果としてのムービーは、空間解像度約40µmで、その動作をはっきりと示している。これは現在、医療イメージングシステムで利用できる解像度よりもほぼ一桁優れている。

研究チームは、システム全般と画像再構成アルゴリズムの改善を継続して行い、解像度を高め、計測時間を短縮する予定である。