May, 30, 2014, Gaithersburg--米国標準技術局(NIST)の研究チームは、人工の太陽光を生成して太陽電池の特性をテストし、その効率を高める方法を見つけ出すためのレーザベース計測器を開発した。
新しいNISTのシステムは、太陽光を可視光から赤外まで幅広いスペクトラル領域にわたりシミュレートする。キセノンアークランプ、LEDなどの従来の太陽シミュレータと比べて、このレーザ計測システムは柔軟性が高く、微小ビームスポットまで焦点を絞れ、分解能は理論限界に近づく。また、あらゆる所望のスペクトラルプロファイルにマッチする形状にすることができる。
新しいシミュレータは、パワーブーストに光ファイバ増幅器を利用した白色光レーザをベースし、またスペクトラルを広げるためにはフォトニック結晶ファイバ(PCF)をベースにしている。NISTの研究チームはこのシミュレータを使って、薄膜太陽電池の効率を計測した。計測した太陽電池は、GaAs、結晶シリコン、アモルファスシリコン、CIGSでできた薄膜太陽電池。、その結果は独立した計測と一致したと説明されている。
「われわれは、光のスポットを2µm径まで絞ることができる。しかし、スペクトラルの幅は広い。太陽光ではこういうことはできない。次に、集中したスポットを使って太陽電池材料をスキャンし、同時に太陽光から生成される電流をモニタする。これにより、マイクロメートルレベルで太陽電池の応答の空間マップを作成することができた」とNISTの研究者、Tasshi Dennis氏は説明している。
この新しい計測器は、研究者が太陽電池の光学的、電気的特性、欠陥や変わったデザインの影響などを理解するのに役立つ。特に、迅速、正確にスペクトラル調整ができる新しいシミュレータの能力は、多接合材料を使う、最も効率的な太陽電池の特性評価に役立つ。多接合(マルチジャンクション)材料は、各ジャンクションがスペクトラルの異なる部分に調整できる。計測器は、小さな研究サンプル、個々の集光型太陽電池、マイクロストラクチャをプローブするように設計されており、大型の太陽電池パネルやモジュールの効率を計測することはできない。NISTの研究者は、NISTの外で使用できるように、この新しいシミュレータをプログラマブル、可搬型にすることに取り組んでいる。