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量子位相が駆動する散乱に強い光電流、高性能太陽電池の実現に道

August, 12, 2020, 東京--理化学研究所(理研)などの共同研究グループは、強誘電体を含む空間反転対称性の破れた物質に光を照射したときに発生する光電流が、結晶中の格子欠陥や格子振動による散乱を受けにくい「トポロジカル電流」としての性質を持つことを実証した。

研究成果は、エネルギー散逸の少ない光電流の発生機構を利用する、高効率の太陽電池や高感度の光検出器の開拓に貢献すると期待できる。

今回、共同研究グループは、強誘電性と半導体特性を併せ持つ硫化ヨウ化アンチモン(SbSI)において、結晶中の格子欠陥と光電流の関係を調べた。その結果、試料に電場を加えて発生する通常の電流は欠陥密度の大きさに強く依存するのに対し、光を照射してゼロ電場で発生する電流は欠陥密度の違いの影響をほとんど受けないことを明らかにした。この欠陥に対する高い耐性は、発生している光電流が量子位相に駆動されるトポロジカル電流であることを示している。

研究成果は、科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』オンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)

共同研究グループ
理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター(CEMS)強相関界面研究グループの中村優男上級研究員(科学技術振興機構(JST)さきがけ研究者)、畑田大輝研修生(東京大学大学院生(ともに研究当時))、川﨑雅司グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)