August, 7, 2020, Castelldefels--ICFO、MIT、Duke、University of Paris-Saclay、およびUniversidad do Minhoの研究者は、ナノメートルサイズのグラフェンと金属キューブを使って過去最小赤外光キャビティの実現をScienceに発表した。
微小化により、技術は、光回路の新たな時代へと進んだが、同時に、克服すべき新たな課題と障害が始まった。例えば、ナノメートルスケールでの光の制御と導波方法である。新技術は、光を非常に小さな空間、現在の回路よりも数100万倍小さな空間に閉じ込める方法の探求を始めている。研究者は、もっと早い段階で、金属が光を波長スケール(回折限界)以下に圧縮できることを見出している。
その見地では、炭素原子の単層で構成される材料で並外れた光学的、電気的特性を持つ、グラフェンは、「プラズモン」形式で光をガイドできる。プラズモンとは、光と強く相互作用する電子の振動である。これらグラフェンプラズモンは、光を非常に小さな空間に自然に閉じ込めることができる。とは言え、これまで、これらプラズモンの閉じ込めは一方向でしか可能でなかった。一方、光は原子や分子など、非常に小さな粒子と実際に相互作用する。光の実際の能力は、圧縮された大きさに存在する。この種の閉じ込めは、全て3Dであり、一般に光キャビティと見なされている。
Scienceに発表された最近の研究によると、研究チームは、ナノメートルサイズの金属キューブを組み込むことで、グラフェンプラズモンのために新しい種類のキャビティをグラフェンシートに構築することに成功した。このアプローチにより、これらプラズモンベースの赤外光向けに過去最小の光キャビティを実現することができた。
実験では、50nmサイズの銀ナノキューブを使った。これはグラフェンシート上にランダムにまき散らしたものであり、特殊なパタンや方向性はない。これにより、各ナノキューブは、グラフェンとともに、単一キャビティとして機能する。すると、そのデバイスを通して赤外光を送り、金属ナノキューブとグラフェンの間の空間にプラズモンがどのように伝搬するかを観察した。光は、その非常に小さな空間に圧縮されているだけである。
研究の筆頭著者、ICFO研究者、Itai Epsteinは、「われわれがこの実験で直面した主要な障害は、赤外域の光波長が非常に大きく、キューブが非常に小さいことであった。200倍程度小さい。したがって、それらを相互作用させることが極めて難しい」とコメントしている。
これを克服するために研究チームは、特殊な現象を利用した。グラフェンプラズモンがナノキューブと相互作用する時、磁気共鳴という特殊な共鳴が生成される。Epsteinは、「磁気共鳴固有の特性は、一種のアンテナとして機能できること。これにより小サイズのナノキューブと大きな光との差をブリッジするのである」と説明している。こうして、生まれた共鳴が、通常の赤外光よりも10億倍小さな、極めて小さな空間におけるキューブとグラフェン間のプラズモン運動を維持した。これは、光閉じ込めでは、以前には決して達成されなかったことである。それどころか、光と相互作用している時に、単一のグラフェン-キューブキャビティは、新しいタイプのナノアンテナとして機能し、赤外光を非常に効率的に散乱させることができる。
その研究成果は、分子および生物学的センシング分野に極めて有望である。医療、バイオテクノロジー、食品検査、セキュリティにとっても重要である。このアプローチが、光場を著しく強化し、したがって、通常、赤外光に反応する分子材料を検出できるからである。
Koppens教授は、「そのような成果は極めて重要である。われわれはプラズモンモードの大きさを調整して、小さな粒子、分子、原子との相互作用を促進できるからである。また、それらを検出し、研究できるからである。赤外とテラヘルツの光スペクトル領域は、分子の振動共鳴について貴重な情報を提供してくれ、分子材料との相互作用、検出を可能にし、これを有望なセンシング技術として利用できることがわかっている」とコメントしている。
(詳細は、https://www.icfo.eu)