August, 6, 2020, 和光--理研、高輝度光科学研究センタ、量子科学技術研究機構の研究者で構成される共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」において、X線顕微鏡を用いて物体内部のらせん構造の向きを識別する新しい観察法を開発することに成功した。
研究成果は、生体内のさまざまならせん構造の向きの識別・分布から、生命現象を理解する新しいツールを生むとともに、材料を特徴づけるらせん転位の識別や、分布の観察を可能にし、高性能の半導体素子や発光素子、高剛性の金属などを効率良く開発するために役立つと期待できる。
共同研究グループは、物体内部のらせん構造の向きを識別するために、動径(中心から外に向かう方向)および角度方向の微分に感度を持つX線顕微鏡を新しく開発した。このX線顕微鏡では、物体のらせん構造の性質を「光渦」の波面に転写させ、結像レンズとしてらせんフレネルゾーンプレートを用いることで、らせん構造の向きを識別する。実験では、物体を通って生じたX線光渦の巻数を求め、同時にらせん構造の位置情報を決定することに初めて成功した。
研究成果は、科学雑誌『Optics Express』オンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)
研究グループ
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター放射光イメージング利用システム開発チームの香村芳樹チームリーダー、ビームライン研究開発グループ理論支援チームの澤田桂研究員、高輝度光科学研究センター分光・イメージング推進室の水牧仁一朗主幹研究員、量子科学技術研究開発機構(量研)量子ビーム科学部門関西光科学研究所放射光科学研究センターの大和田謙二グループリーダー他。