July, 16, 2020, 東京--東京大学大学院理学系研究科・合田圭介教授が率いる研究グループは、細胞内生体分子を光学的に高速検出する誘導ラマン散乱(stimulated Raman scattering, SRS)顕微法で撮像し、画像解析で細胞を高速識別して、その解析結果に応じて所望の細胞を分取する、世界初の「ラマン画像活性細胞選抜法(Raman image-activated cell sorting, RIACS)」を開発した。
この技術により、蛍光標識を用いないありのままの姿の生きた細胞1つ1つを、1秒間に最大100細胞の速度で解析して識別、分取することに成功した。さらに、動物細胞や微生物を、その細胞内部の生体分子の分布を指標として、分取する原理実証を行い、この技術の有用性や汎用性を確認した。
この研究成果により、蛍光標識では分取が困難であった細胞に対して、1つ1つの細胞に含まれる生体分子の無標識画像を用いた分取により、細胞の選抜が可能となる。このことから、生物学や医学などの基礎科学における新たな発見、がん免疫細胞療法や再生医療における細胞品質評価、創薬における細胞に対する薬効評価、バイオ燃料開発やスマートセル産業における物質生産効率の高い微生物のスクリーニングなど、さまざまな応用展開が期待される。
研究成果は、Nature Communicationsのオンライン版で公開された。
(詳細は、https://apps.adm.s.u-tokyo.ac.jp)