June, 5, 2020, Cambridge--MITの研究者は、電子センサを伸縮性のある繊維に組み込む方法を開発した。これにより,体温、呼吸、心拍数などバイタルサインをモニタするために使えるシャツや他の衣服を作ることができる。
センサを埋め込んだ衣服は、洗濯機で洗濯でき、それを着ている人の身体に密着するようにカスタマイズ可能である。研究チームは、この種のセンシングは、家庭や病院で、病気の人々、またアスリート、宇宙飛行士をモニタリングするために利用できると考えている。
「われわれは、市販入手可能な電子部品あるいはカスタムラボメイドエレクトロニクスを日常着る繊維に埋め込むこみ、身体に適合する衣服を作ることができる」とMITのメディアアート・科学LGエレクトロニクスキャリアディベロップメント准教授、Canan Dagdevirenは話している。「これらはカスタマイズ可能であり、身体から体温、呼吸数などの物理データをとる必要がある人に適した衣服を作れる」。
埋込センサ
他の研究グループが、体温や他のバイタルサインを計測できる薄い、皮膚のようなパッチを開発したが、これらは繊細であり、皮膚にテープで貼りつけなければならない。Media Lab、DagdevirenのConformable Decodersグループは、われわれが通常身につけている衣服に近い衣類を作ろうとした。これには、取り外し可能な電子センサを組み込んだ伸縮性のある布地を使用している。
「われわれの場合、布地は電気的に機能しない。それは衣服のパッシブ要素に過ぎないので、日常生活でそのデバイスを楽に、心地よく着ることができる。われわれの主な目的は、体温、呼吸、一過性頻脈など、身体の部分からの全てを、固定もテープも使わずに計測することである」と同氏は説明している。
電子センサは、長い柔軟なストリップでできている。これはエポキシにカプセル化されており、繊維の狭いチャネルに織り込まれている。これらのチャネルには、小さな開口部があり、センサが皮膚に露出するようになっている。この研究では、チームは30個の温度センサと加速度計を搭載したプロトタイプシャツを設計した。これは、着ている人の動き、心拍数、呼吸数を計測できる。衣服は、このデータをワイヤレスでスマートフォンに送ることができる。
研究チームは、ポリエステル混紡を選択した、その吸湿特性と、皮膚への適合性、運動中に着るコンプレッションシャツに似ているからである。昨年の夏、衣服に使用する素材の量産実験のために、チームの数人が中国、深圳の工場で時間を費やした。
「外側からはそれは通常のTシャツのように見えるが、その内部には、皮膚に触れる電子部品が見える。それは身体に押しつけられており、センサのアクティブ部分が皮膚に露出している」(Dagdeviren)。
衣服は、センサを埋め込んだまま洗濯できる、またセンサは取り除いて他の衣服に移すこともできる。
リモートモニタリング
研究チームは、装着者がジムで運動中にそのプロトタイプシャツをテストした。体温、心拍数、呼吸数の変化をモニタできるセンサは体表の大面積をカバーするので、チームは、身体の様々な部分の温度変化を観察でき、その変化がどのように相互関係するかも観察できる。
シャツは、多くの年齢や体型に適合する様々なサイズで簡単に製造できる。Dagdevirenは、パンツなど他のタイプの衣服の開発も始める計画である。また、血中酸素レベルや他の健康指標をモニタする追加センサの組込にも取り組んでいる。
この種のセンサは、個人化遠隔医療に便利であり、医者は遠隔から在宅の患者をモニタできる。また宇宙飛行士の健康を、宇宙にいる間にモニタすることも可能。
医者に行ったり、ビデオコールも必要ない。この種のデータ収集により、医者は患者の評価を改善し、患者を助けることができる。