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テラヘルツ光照射による細胞内タンパク質重合体の断片化

June, 5, 2020, 和光--理化学研究所(理研)、東北大学他の共同研究グループは、水溶液中で培養した細胞にテラヘルツ(THz)パルス光を照射した際、その光エネルギーが水溶液中を「衝撃波」として伝搬し、細胞内のタンパク質重合体を断片化することを明らかにした。

この研究成果は、THzパルス光が生体内の水に吸収されて衝撃波を生み出し、生体内部の細胞や組織に作用する可能性を示しており、今後の安全指針策定や、THz光を用いた新しい細胞操作技術の創出につながると期待できる。

 共同研究グループは、大阪大学産業科学研究所の自由電子レーザーによって発生したTHzパルス光(周波数4 THz、80~250μJ/cm2)を、水溶液中の培養細胞に向けて照射すると、細胞内に存在するタンパク質重合体(アクチン繊維)が切断され、断片化することを発見した。この断片化は、THz光が到達できない水深数mmで観察されたことから、THz光がタンパク質重合体に直接作用したのではなく、水表面で吸収された光エネルギーが衝撃波として水溶液中を伝搬し、細胞内のタンパク質重合体構造の変化を誘起したと考えられる。

研究成果は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版に掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)

研究グループ
理化学研究所(理研)光量子工学研究センターテラヘルツイメージング研究チームの山崎祥他基礎科学特別研究員、保科宏道上級研究員、大谷知行チームリーダー、東北大学大学院農学研究科の原田昌彦教授、量子科学技術研究開発機構の坪内雅明上席研究員、大阪大学産業科学研究所の磯山悟朗特任教授、京都大学大学院農学研究科の小川雄一准教授。