May, 27, 2020, 大阪--大阪大学大学院工学研究科の大学院生の片桐健登(同研究科博士後期課程、文科省委託事業特任研究員)と尾崎典雅准教授らの研究グループは、大阪大学レーザー科学研究所の大型レーザー装置激光XII号を用いて、常温常圧下において透明なダイヤモンドを高速大変形させ、圧縮の増加に伴って光学的に不透明になっていく様子などをリアルタイムに直接観察した。
ダイヤモンドはその硬さに代表されるように、優れた特性を有するユニークな物質。天然のダイヤモンドは、地球深部や天体衝突時の超高温度・超高圧力の極限環境下で生成することが知られている。この極めて硬いダイヤモンドを圧縮し、物性を調べるためには、高強度パルスレーザを用いた動的圧縮が唯一の手法となる。研究チームは国内最大パルス出力の激光XII号レーザを用いた実験により、550万気圧までの極限環境におけるダイヤモンドの光学特性を測定することに初めて成功した。
今回得られたデータから、ダイヤモンドは170万気圧を超える動的高圧力が付加され、体積が20%程度小さくなると、可視光に対して急激に不透明になることがわかった。また、圧力が高くなるほど屈折率が上昇していくことも明らかとなった。このことは、高速の天体衝突やレーザ核融合などに関連する動的過程において、ダイヤモンドの光の吸収や反射の振る舞いが大きく変化することを意味している。
研究成果はPhysical Review Bでの掲載に先立ちオンライン公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)