May, 23, 2014, St. Louis--ワシントン大学医学部の研究者は、頭に数10個の小さなLED光を照射することで脳が行っている処理を追跡するブレインスキャニング技術を前進させた。この新しい世代の神経イメージングは、他のアプローチと比べて遜色がないが、研究チームによると、他のアプローチが必要とするような放射線被曝や大きな磁石を回避することができる。
脳スキャニングへの新しい光学アプローチは、子供や電子的インプラントを持つ患者に理想的に適している。例えば、ペースメーカー、人工内耳、深部脳刺激装置(パーキンソン病の治療用)などの電子インプラントを持つ患者に適している。MRIの磁場は、埋め込まれた電子機器の機能あるいは安全性を妨害することがある。それに対して光技術では障害はない。
この新しい技術は、拡散光トモグラフィ(DOT)と呼ばれている。研究者たちは10年以上にわたりこの技術を発展させてきているが、この方法の適用は脳の狭い範囲に限られていた。新しいDOT装置は頭の2/3をカバーし、多くの領域で起こっている脳の活動、言語や内省に関わる脳のネットワークを初めて撮像できるようになった。
放射線医学准教授PhD Joseph Culver氏によると、脳の領域の神経活動が活発になると酸素を多く含んだ血液が、活動が増えている脳の部分に流れて行き、それを検出することができる。
DOT技術は現状では研究設定で使われているが、多くの医療シーンで機能MRI(fMRI)の代理として役立つ可能性がある。fMRIも血流の変化を通じて脳の活動を追跡する。他にも脳の機能をマッピングする方法として陽電子放出断層撮像(PET)がある。
DOT技術は放射線照射を使わないので、時間をかけて多数のスキャンを行い、脳障害で治療を受けている患者の進行状況モニタに使える。また、自閉症、パーキンソン病などの神経変性疾患の患者のモニタにも使える。
fMRIやPETと違い、DOT技術は可搬設計となっているので、患者のそば、あるいは手術室でも使える。
論文の筆頭著者、ポスドク研究フェローPhD、Adam T. Eggebrecht氏は、「新たに画像品質を改善したことで、DOTはfMRIの解像度、位置精度に大きく近づいた。つまり、DOTは、fMRIが使えないような状況で、強力な代替として使えるということだ」とコメントしている。