May, 22, 2020, Philadelphia--多くの新興技術は高品質レーザを当てにしている。レーザベースLiDARセンサは、3次元空間で極めて正確なスキャンを可能にする。また、そのようなレーザは、自律走行車から地理マッピング技術、緊急応答システムまでのアプリケーションにとって重要である。高品質レーザは、高速、インターネットのバックボーンである大容量データセンタの重要部分でもある。
レーザの品質を評価する際、研究者はレーザの周波数におけるノイズ、つまりレーザの光波の各秒ごとの切替数に注目している。低品質、「ノイズの多い」レーザは、そうした切替で不規則な変動が多くなり、正確な計測を返したり、高密度に詰め込んだ情報を伝達するシステムでは使えない。
現在、十分に低周波数ノイズのレーザは大きく、高価であり、量産には向かない。ペンエンジニアは、いわゆる「位相ノイズフィルタ」というデバイスでこの問題を解決しようとした。位相ノイズフィルタは低コストでコンパクトなレーザをLiDARなどに適するレーザに変えることができる。
電気工学・システムエンジニアリングSkirkanich准教授、Firooz Aflatouniは、単一のマイクロチップへの光素子と電子素子の統合を得意としており、両システムから最大限を引き出す。現在、同氏と研究室のメンバー、Mohamad Hossein Idjadiは、ローコストレーザの周波数ノイズ低減にこの技術を適用し、大きくて高価なレーザのパフォーマンスよりも優れているとは言わないまでも、同等性能を達成した。
研究成果は、Nature Photonicsに発表されている。
両氏は、同じような電気光学システムを使ってローコストレーザの周波数でどのようにノイズ低減できるかを以前に発表している。これには、レーザの周りにループを形成し、レーザノイズをそれ自体にフィードバックした。今回、両氏は、新しい3平方ミリのフィルタチップが、ローコストレーザチップの出力を取り出して、それを変換し、数100倍大きくて非常に高価な最先端のレーザと同等の周波数ノイズとした。
以前の研究に対する重要な利点として、実装されたフィルタがレーザチップと独立に動作し、したがって多くの多様なタイプのレーザと協働できることである。
レーザの周波数は、一秒あたりのそれの切替回数に対応しているので、それはトーン、つまり色に反映される。
「例えば、最高品質の赤色レーザは、出力では単一の純粋赤色となる。つまりその周波数が、赤の正確なトーンに対応する色スペクトルの細い線で表せる。しかし、実際、ノイズや他の要素により、レーザは多くの稠密に詰め込んだトーンを生成し、結果的にスペクトルはもっと太くなる。この線の幅は、レーザ線幅として知られており、レーザパフォーマンスを測る方法である。線が細ければ細いほど、それはますます理想的な単色レーザに近づく」とAflatouniは、説明している。
狭線幅レーザは、通信やLiDARなど多くのアプリケーションで重要である。
「例えば、先進的LiDAR、いわゆるコヒレントLiDARでは、達成可能な距離は、レーザ線幅に反比例する。線幅が狭いほど、距離は延びる」と同氏は話している。
以前の研究と同様、今回の新しいフィルタチップは、入力レーザの線幅低減にフィードバックループシステムを利用している。
「われわれが実装したチップは、線幅を広げるノイズを計測し、それを増幅して、ループでレーザ出力光からそれを取り去り、究極的にその線幅を狭くする」とIdjadiは説明している。
そのフィルタは、ファイバオプティクモデムで見られるレーザチップのための既存製造工程に組み込めるので、これらのレーザシステムも大型レーザと比べて非常にコスト効果よく量産できる。この技術によりローコスト、コンパクトなLiDARs、ハンドヘルド診断システムが実現可能になり、高データレート光通信システムのサイズとコストが低減される。
(詳細は、https://penntoday.upenn.edu/)