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光ファイバネットワークを使って地震をモニタ

May, 19, 2020, Ann Arbor--ミシガン大学と3研究機関の研究は、地震をモニタし研究するために既存の埋設光ファイバネットワークを安価な観測機として使用する可能性を証明している。

研究は、高速インターネットやHDビデオをわれわれの家庭に伝送する同じ光ファイバが、いずれ地震センサとしても役割を果たすという新事実を示している。

「光ケーブルは現代の通信のバックボーンであり、またわれわれは既存ネットワークを広範囲の地震アレイに変え、地震の最中に地面の動きを評価できることを実証した」と論文の筆頭著者、U-M地震学者、Zack Spicaは話している。

研究は、スタンフォード大学のプロトタイプアレイを利用して実施された。

「光ファイバ地震学を利用して、地震研究者が振動の大きさを予測するために表面下の特性の標準的計測を引き出すのは初めてである」と地質学者、Greg Berozaは話している。

光ファイバケーブルを地震計に変えるために研究チームは、ケーブル片端にレーザインテロゲータという計測器を接続し、それによりレーザパルスをファイバに打ち込む。光は、ファイバに沿って不純物に直面すると戻ってくる。それが、干渉計によって分析される「後方散乱信号」を作る。

後方散乱信号における変化が、地震による地震波を含む通過する擾乱に応じて、ファイバの伸長あるいは圧縮の程度を明らかにする。その技術は、分散型音響センシング(DAS)と言われており、石油やガス産業ではパイプラインや油田の健全性モニタに長年使用されてきた。

JGR Solid Earthの新しい研究は、浅い表面下の高分解能マップを作り3マイルのスタンフォードテストループで以前の研究を拡張している。Berozaによると、どのエリアが今後の地震で最強振動を被るかを見るために研究者がこれを利用することができる。

加えて、その研究は、光ファイバを使って地震波を検知し、速度モデルと地面の共鳴周波数が得られることを証明している。これら2つのパラメータは地震動予測と地震災害予測にとって重要である。Spicaのチームは、その結果が従来の技術を利用した独立調査とよく一致すると話しており、したがって光ファイバ地震学が証明されている。

このアプローチは、数千マイルの光ケーブルが地下に埋設されているサンフランシスコ、ロサンゼルス、東京、メキシコシティなど大地震の恐れがあるところで大きな可能性があると見られている。

これら都市中心部の多くは、地震振動を増幅し拡大する柔らかな堆積物の上に構築されている。表面近くの地質は、地域ごとに大きく変わり、詳細な特定場所の情報の必要性が重視される。

しかし、そのような情報は、従来技術では難しい。大規模な地震計、例えばロサンゼルスではそのような機器は数千が必要になる。

「都市部では、至る所にアスファルトがあるので、地震観測点が導入できる場所を見つけるのは非常に難しい。加えて、これらの土地の多くは私有地であり利用できない。また、盗難の恐れがあるので地震観測点をいつでもスタンドアロンにしておくことはできない」(Spica)。

「ファイバオブティクスは、いずれそのような大規模で高価な実験を終える。ケーブルはアスファルト下に埋設され、都市全体を縦横に走っているので、表面地震観測点で不利な点は何もない」(Spica)。

同氏によると、それは極めて安価な技術になり得る。一般的に光ファイバケーブルには、未使用ファイバが含まれており、地震学を含む他の目的でリース可能である。

当面、従来の地震計は、ファイバオプティックセンシングを利用するプロトタイプシステムよりも性能が優れている。また、地震計は3方向で地殻変動を計測するが、光ファイバは、ファイバに沿った方向だけである。

プロジェクトの次のステップは、大規模なテストアレイである。複数の他の近隣地域、ファイバが埋設されているスタンフォードキャンパスで光ファイバを接続することで最近、27マイルループが、形成されている。