May, 13, 2020, つくば--筑波大学数理物質系 山本洋平教授、山岸洋助教、同大学院数理物質科学研究科 岩井航平(物性・分子工学専攻 博士前期課程2年)は、神奈川大学理学部 辻勇人教授、九州大学先導物質化学研究所 アルブレヒト建准教授、東京工業大学、科学技術振興機構、産業技術総合研究所、リガク、デュイスブルクーエッセン大学(ドイツ)との共同研究により、光捕集機能をもつ有機マイクロ結晶レーザの開発に成功した。
辻教授らが2012年に開発した炭素架橋オリゴフェニレンビニレン(COPV)は、発光特性と光耐久性が優れたπ共役系有機分子であり、これまでに、薄膜あるいはマイクロ結晶によるレーザ発振が報告されている。今回、研究グループは、COPVに、光捕集機能をもつ樹状分子部位(カルバゾールデンドロン)を付与することで、効率的な光エネルギーの捕集が期待できる巨大分子を設計・合成し、その結晶化に成功した。得られたマイクロ結晶を紫外光で励起すると、樹状分子部位が光アンテナとして機能し、光エネルギーが効率的にCOPV部位に捕集される。さらに、マイクロ結晶端面における光の全反射により発光が結晶内部に閉じ込められ、レーザ発振が起こることを明らかにした。
このような光捕集機能をもつ有機マイクロレーザは、レーザ発振の低閾値化をもたらすと考えられる。また、微小レーザ光源や、光回路、化学・バイオセンシングとしての応用が期待できる。
研究成果は、「Angewandte Chemie International Edition」誌にオンライン先行公開された。
(詳細は、http://www.tsukuba.ac.jp)